【ワシントン時事】バイデン米大統領は8日、ウクライナに侵攻を続けるロシアへの追加経済制裁として、低関税での輸入を認める貿易優遇措置の「最恵国待遇」を取り消すための法案に署名し、同法は成立した。ロシアからの輸入品に高関税を課すとともに、ロシアの世界貿易機関(WTO)における資格停止を促すことを米政府に義務付ける。プーチン政権の資金源を断ち、ロシア経済の孤立化を図る。

 最恵国待遇取り消し法は、貿易優遇措置を認めた「恒久的通商関係正常化」(PNTR)法を撤回し、成立の翌日から、ロシアからの輸入品に対する関税を引き上げることが可能になる。侵攻に協力したロシアの同盟国ベラルーシに対する最恵国待遇も取り消す。

 米国ではロシアからの輸入品に対する関税率は平均3%にとどまるが、最恵国待遇を取り消せば、米国が敵対国と位置付ける北朝鮮やキューバに準じて30%超の高関税を課すこともできる。米大統領は2024年1月まで自由に関税を引き上げる権限を持つ。