ロシアによるウクライナに対する軍事侵攻が続いています。
ウクライナの各地でロシア軍とウクライナ軍が戦闘を続けていて、大勢の市民が国外へ避難しています。戦闘の状況や関係各国の外交などウクライナ情勢をめぐる5月4日(日本時間)の動きを随時更新でお伝えします。
(日本とウクライナ、ロシアのモスクワとは6時間の時差があります)

戦勝記念日 戦争状態と宣言の見方をロシアが否定

今月9日の戦勝記念日でロシアのプーチン大統領がウクライナとの間で戦争状態にあると宣言するという見方について、ロシア大統領府のペスコフ報道官は4日「それはない。ばかばかしいことだ」と否定しました。そして戦争状態という名目でロシア国民が総動員される可能性についても「それはうそだ」と否定しました。
一方、停戦交渉について「ウクライナ側は毎日のように態度を変えている。後ろ向きな印象しかなく、よい結果が出るという確信が持てない」と述べ、交渉が停滞しているのはウクライナ側に原因があると主張しました。

ロシア国防相 戦勝記念日の軍事パレードの規模明らかに

ロシアのショイグ国防相は今月9日に28の都市で開催する戦勝記念日の軍事パレードの規模を明らかにしました。28の都市の中には一方的に併合したウクライナ南部クリミアの軍港都市セバストポリなども含まれていると、これまでにロシア国防省が明らかにしています。
モスクワの赤の広場で行われる軍事パレードには兵士およそ1万1000人が参加し、77の航空機や131の兵器が披露される予定だということです。兵士の数はおよそ1万2000人だった去年より少なくなっています。各地の軍事パレードを合わせると参加する兵士はおよそ6万5000人で、460機以上の航空機と2400に及ぶ兵器が披露されるということです。

ロシア国防相“欧米側の軍事支援をけん制”

ロシアのショイグ国防相はウクライナでの軍事作戦について4日に開かれた国防省の会議で「ウクライナ軍への武器や物資を積んで到着したNATO=北大西洋条約機構の輸送機関はわれわれの合法的な標的となる」と強調し、欧米側からの軍事支援を強くけん制しました。また東部ルハンシク州とドネツク州については、ロシア軍が親ロシア派の武装勢力とともに支配地域を広げているとして戦果を強調しました。東部のマリウポリについてもすでにロシア側が掌握し平和な市民生活が確立されていると主張したうえで「最高司令官の命令に従い、アゾフスターリ製鉄所の一帯にまだ残っている戦闘員を強固に封鎖している」と述べ、製鉄所の包囲を続ける方針を確認しました。

EU ロシアへ追加制裁 年内に石油の輸入を禁止へ

EUの執行機関、ヨーロッパ委員会のフォンデアライエン委員長は4日、ヨーロッパ議会で演説し、ロシアに対する追加制裁案を発表しました。

この中でフォンデアライエン委員長は「一部の加盟国はロシアの石油に大きく依存しており容易なことではないが、やらないわけにはいかない。EUはきょう、ロシアからのすべての石油の輸入を禁じることを提案する」と述べました。

そのうえで、▽原油は6か月以内、▽精製した石油製品はことしの年末までに、輸入を禁止する方針を明らかにしました。

フォンデアライエン委員長は、ロシアからの石油の輸入禁止にあたって代わりの調達先を確保するとともに、世界市場への影響も極力抑え加盟国の経済に支障が出ないよう最大限努めるとしています。

制裁の実施には、すべての加盟国の同意が条件ですが、ハンガリーがロシアからの石油や天然ガスの輸入禁止に反対の立場をとるなど加盟国の間で温度差があるため、入念な調整が必要になるとみられています。

またフォンデアライエン委員長は、ロシアの最大の金融機関ズベルバンクを国際的な決済ネットワークSWIFTから締め出す方針もあわせて明らかにしました。

ロシア 岸田首相ら政府関係者など63人の入国禁止措置を発表

ロシア外務省は4日、ウクライナ情勢を受けた日本の制裁措置への報復として岸田総理大臣や林外務大臣をはじめ政府関係者など合わせて63人に対し、ロシアへの入国を禁止する措置をとることを決定したと発表しました。

英国防省 “ロシア軍 ウクライナ東部へのさらなる攻勢準備か”

イギリス国防省は、4日に公表したウクライナの戦況分析で「ロシア軍は東部ハルキウ州のイジューム近郊に、22の部隊を配備し、東部ドンバス地域の北側から前進しようとしている」として東部でさらなる攻勢の準備を進めているという見方を示しました。

そして、ウクライナ側の抵抗に苦戦しながらも、イジュームの南にある▽東部ドネツク州のクラマトルスクと▽東部ルハンシク州のセベロドネツクを掌握しようとしていると指摘しています。

そのうえで「ロシア軍がこれらの地域を掌握すれば、ドンバス地域の北東部の支配が強固なものになる」として、東部で攻勢を強めたいロシア軍の足場になりかねないと分析しています。

バイデン大統領 対戦車ミサイル生産の工場視察 予算承認呼びかけ

アメリカのバイデン大統領はウクライナへの軍事支援の象徴ともなっている対戦車ミサイルを生産している南部アラバマ州の工場を視察し、さらなる支援の強化のために議会に求めている330億ドルの予算を承認するよう重ねて呼びかけました。

バイデン大統領が3日、視察に訪れたのは南部アラバマ州にあるロッキード・マーチン社の工場でここではウクライナへの軍事支援の象徴ともなっている対戦車ミサイル「ジャベリン」が生産されています。

バイデン大統領は視察後に行った演説で「この施設で働くすべての人々やアメリカの納税者はウクライナの自由を求める戦いに直接、貢献している」と述べ、軍事支援がウクライナで大きな役割を果たしていると強調しました。

「ジャベリン」は戦車などの装甲を貫通する強力なミサイルを標的に向けて自動で誘導する精密兵器で、兵士が1人で持ち運べる機動性の高さもあり、ウクライナ軍がロシア軍との戦闘で効果的に活用しています。

ウクライナ侵攻の長期化が懸念される中、バイデン大統領は「ジャベリン」といった兵器などの支援を強化するため、330億ドル、日本円にしておよそ4兆3000億円にのぼる大規模な追加予算を議会に求めていて、この日も速やかな承認を重ねて呼びかけました。

ゼレンスキー大統領「救出のチャンスまだある」

ウクライナのゼレンスキー大統領は3日、ビデオメッセージを公開し、「マリウポリのアゾフスターリ製鉄所からザポリージャへ156人が避難を完了した」と述べました。

一方で、「ロシア軍は現在、合意を破り、製鉄所に大量の空爆を続け、全面攻撃を行っている。市民の救出が成功したことでロシア軍は神経質になっているが、他の人々を救出するチャンスはまだあると信じている」と述べ、市民や兵士の避難を急ぐ考えを重ねて示しました。最新の戦況地図はこちら

ドネツク州知事 “ロシア軍の攻撃で市民21人死亡”

ウクライナ東部ドネツク州のキリレンコ知事は、自身のSNSで、3日、ロシア軍の攻撃により州内で市民21人が死亡し、27人がけがをしたと明らかにしました。

このうち、工業都市のアウディーイウカでは、ヨーロッパ最大級の規模とされるコークス工場が攻撃を受け、少なくとも10人が死亡し、15人がけがをしたとしています。

自衛隊の輸送機が到着 避難者支援の物資運ぶ

5月1日に日本を出発した航空自衛隊のC2輸送機は、途中、UAE=アラブ首長国連邦で備蓄されている毛布やビニールシート、それに太陽光で充電できるランタンなどの物資を積み込み、現地時間3日午後4時ごろ、ポーランド南東部、ジェシュフの空港に到着しました。

ウクライナ情勢をめぐって日本政府はUNHCR=国連難民高等弁務官事務所の要請を受け、航空自衛隊の輸送機で救援物資を運ぶことを決めていました。政府関係者によりますと、輸送機が運んだ救援物資は空港内の倉庫に保管され、その後、各地へ運ばれるということです。

国連 少なくとも市民3193人が死亡

国連人権高等弁務官事務所は、ロシアによる軍事侵攻が始まったことし2月24日から今月2日までに、ウクライナで少なくとも3193人の市民が死亡したと発表しました。このうち227人は子どもだとしています。

地域別でみると、
▼東部のドネツク州とルハンシク州で1663人、
▼キーウ州や東部のハルキウ州、北部のチェルニヒウ州、南部のヘルソン州などで1530人の死亡が確認されているということです。

また、けがをした市民は3353人にのぼるとしています。

一方、国連人権高等弁務官事務所は、東部のマリウポリなど激しい攻撃を受けている地域での死傷者の数については、集計が遅れていたり、確認がまだ取れていなかったりして、統計には含まれておらず実際の死傷者の数はこれを大きく上回るとの見方を示しています。

国外避難者は559万人余り(国連まとめ)

UNHCR=国連難民高等弁務官事務所のまとめによりますと、ロシア軍の侵攻を受けてウクライナから国外に避難した人の数は、2日の時点で559万人余りとなっています。

主な避難先は、
▼ポーランドがおよそ307万人、
▼ルーマニアがおよそ83万人、
▼ハンガリーがおよそ53万人、
▼モルドバがおよそ44万人などとなっています。
また、先月30日の時点で、
▼ロシアに避難した人はおよそ68万人となっています。

マリウポリから101人が避難 30人ほどはとどまる

マリウポリの製鉄所からの市民の避難を支援した国連の担当者は3日、南東部ザポリージャからオンラインで記者会見し、今回、製鉄所からは女性や幼い子どもを含む101人が避難したことを明らかにしました。

製鉄所の中にはおよそ2か月にわたって避難していたために歩くことも難しい高齢者がいたほか、当初想定されていたのとは違うルートでの避難を余儀なくされ、避難は困難を極めたということです。

また、30人ほどが外に出たあとの身の危険を感じ、避難せずに製鉄所の中にとどまることを選んだとしています。

一方で、「製鉄所はとても広く人々は別々の場所にいたため、何人が残されているのかはわからない」としたうえで、今後について「避難を支援する準備はできている。今回の避難をきっかけに、残された人たちの次の避難につなげたい」と述べ、再びマリウポリを訪れ市民の避難に取り組む考えを示しました。

マリウポリからの避難者「道のり困難だった」

東部マリウポリのアゾフスターリ製鉄所から避難してきた市民たちの第1陣が、3日、避難先の南東部ザポリージャに到着しました。

バスから降りる人たちの中には、荷物を抱えた親子連れが多く見られ、安どの表情を浮かべ、笑顔で手をふる人の姿もありました。

女性の1人は「ここまでの道のりはとても困難でした。大きく回り道をして、製鉄所を出発してからおよそ3日かかりました」と話しました。

そのうえで「人生をゼロからスタートすると言う人がいますが、私はそうしたくありません。できるなら以前の状態に戻りたいですが、それが不可能なことはわかっています。家族とともに新しい人生を歩まなければなりません」と述べ、生活が一変することへの憤りをあらわにしていました。

また、別の女性は「毎晩、眠るときに再び目を覚ますことができるのかと考えていました。攻撃で大きく揺れる建物の地下のシェルターにいる恐ろしさはことばでは言い表せません」と、製鉄所の地下での体験を語りました。

仏ロ首脳が電話会談も平行線

ウクライナ情勢をめぐって、3日、フランスのマクロン大統領がロシアのプーチン大統領とおよそ1か月ぶりに電話会談を行いました。

フランス大統領府によりますと、会談は2時間余りにわたり、マクロン大統領は、
東部マリウポリなどの状況に懸念を示し、ロシア軍が包囲する製鉄所から引き続き市民が避難できるよう、対応を求めたということです。

そのうえで、軍事侵攻を終わらせ、国連安全保障理事会の常任理事国としての責任を果たすよう、強く訴えたということです。

一方ロシア大統領府によりますと、プーチン大統領は、ウクライナ東部ではウクライナ側による攻撃で市民が犠牲になっているにもかかわらず、EU=ヨーロッパ連合の各国がこれを無視していると、主張したということです。

そのうえで「西側諸国がウクライナへの武器供与を停止することで、残虐行為を阻止できる」と一方的に主張し、改めて欧米各国がウクライナへの武器の供与を止めるよう求めたとしています。

ウクライナ副首相「製鉄所の中にはまだ数百人の市民」

ウクライナのベレシチュク副首相は、3日、ロシア軍に包囲されている東部マリウポリのアゾフスターリ製鉄所から避難してきた市民が到着した南東部ザポリージャで記者会見し、「ロシアが国連の担当者を立ち会わせなかったので、製鉄所から避難できた人数は、当初の発表よりも少なかった」と述べ、ロシア側が市民やけが人の避難を妨げていると非難しました。

そして、「製鉄所の中には、まだ数百人の市民が残っている」と述べ、市民の避難を実現するよう、訴えました。

プーチン大統領 「報復措置についての大統領令」に署名

ウクライナへの軍事侵攻を続けるロシアのプーチン大統領は3日、「特定の外国や国際機関による非友好的な行動に対する報復措置についての大統領令」に署名し、ロシアの政府機関や企業に、報復の対象となる企業や個人への製品や原材料の輸出を禁止しました。

大統領令は、具体的な国名などは明らかにしていませんが、ロシアに対する経済制裁などを打ち出した欧米や日本などを念頭にした措置とみられます。

大統領令は、制裁対象となる企業や個人との新たな契約の締結に加え、これまでの契約義務の履行も禁止するとしていて、ロシア政府が10日以内に制裁対象のリストを作成するとしています。

マリウポリ攻撃 “取り残された人の数は不明”

ロシア軍がマリウポリの製鉄所への攻撃を再開し市民の避難が中断したことについて、ICRC=赤十字国際委員会のウクライナ代表部のパスカル・フント首席代表は、3日の記者会見で「市民を避難させるためできることはすべてしたが、より多くの人が地獄のような状況から抜けだせることを願っていたので、複雑な心境だ」と述べました。

そして「どれくらいの人が取り残されているのか、詳細はわからない。われわれは製鉄所のすべての建物に入ることができなかったため、推測することもできない」としたうえで「残された人たちを避難させる準備ができていることを、ロシアとウクライナの双方に伝えている」と述べ、引き続き市民の避難を支援する用意があると強調しました。

マリウポリ アゾフ大隊 “ロシア軍の攻撃で女性2人が死亡”

東部マリウポリのアゾフスターリ製鉄所でロシア軍と抗戦を続けるウクライナの「アゾフ大隊」の副司令官は3日、SNSのテレグラムに動画を投稿し、「ロシア軍は3日、製鉄所への砲撃を続け、激しい空爆も行った」として、この攻撃で女性2人が死亡し、およそ10人がけがをしたと明らかにしました。

そして、ロシア軍の攻撃にあらゆる手段で応戦するとする一方、取り残された市民を避難させる行動を直ちにとるべきだと訴えました。

英 ウクライナに490億円相当の追加軍事支援を表明

ジョンソン首相は、3日、ロシアによる軍事侵攻が始まって以来、外国の首脳としては初めて、ウクライナの議会でオンラインによる演説を行いました。

その中でジョンソン首相は、3億ポンド相当、日本円でおよそ490億円相当の追加の軍事支援を表明し、敵の大砲の位置を特定するためのレーダーや、物資を運ぶためのドローンなどが含まれると説明しました。

また、戦闘が続く地域から市民を避難させたり、公共部門の職員などを守ったりするための車両も提供すると明らかにしました。