【ロンドン時事】フィンランド政府は15日、北大西洋条約機構(NATO)に加盟を申請する方針を正式に決めた。ロシアのウクライナ侵攻を受け、軍事的中立の立場を転換する歴史的決断を下した。北欧のもう一つの中立国スウェーデンの与党も同国のNATO加盟支持を表明。両国がNATOに加われば、地域の地政学上の地図が塗り変わり、欧州は安全保障上の重大な転機を迎える。

フィンランド、プーチン氏にNATO加盟通告 ロシアは送電停止

 フィンランドのニーニスト大統領とマリン首相がヘルシンキで記者会見し、発表した。両氏は先に連名で「加盟支持」を宣言しており、政府の特別委員会がこれに合意し最終決定となった。

 大統領は会見で「歴史的な日だ。新しい時代が始まる」と表明。16日に行われる議会審議を経て申請手続きに入る運びだが、議員の大多数が賛成に回るのは確実な情勢だ。首相は「(申請まで)まだプロセスが残るが、議会は決意と責任感を持ってこの歴史的決断を議論すると信じる」と述べた。

 スウェーデンでも15日、与党の社会民主労働党が加盟支持を発表。党内には慎重な意見もあったが、全党が関わった13日公表の議会安保政策見直しは、「抑止効果をもたらす」と加盟を肯定的に評価していた。野党各党も加盟に賛成で、社民労働党の承認で申請がほぼ決まった。