ロシア軍はウクライナ東部で攻勢を強めている。米国防総省は、ロシアがこの戦争で以前に犯した間違いから学んでいるとの見方を示した。

  ジョンソン英首相は領土割譲を伴うとみられる和平合意を求める声を退け、長距離ミサイルを含むさらなる軍事支援を呼び掛けた。

英首相、ウクライナに追加軍事支援促す-プーチン氏は「ワニ」 (1)

  ロシアがウクライナに侵攻してから100日がたとうとする中で、タンカーで海上輸送されるロシア産石油の量は記録的な水準に達し、他国が制限を課す中で大半はインドまたは中国に向かっている。しかし、ロシアがデフォルト(債務不履行)を回避する見通しは後退しつつある。

  ウクライナのゼレンスキー大統領は11月の20カ国・地域(G20)首脳会議までに戦争が終結し、同会議に出席できることを望んでいると示唆した。クレジットデリバティブ決定委員会(CDDC)はロシア債を巡る決定を31日まで先送りした。

  ウクライナ情勢を巡る最近の主な動きは以下の通り。

プーチン氏への欧州の対応、当局者らがいらだち強める

  外交官や当局者らは、欧州連合(EU)がロシアに与えることができる短期的な苦痛について既に限界に達した可能性があるとのいらだちを強めている。ロシアのウクライナ侵攻から3カ月が経過している。

  EU加盟各国はプーチン大統領の弱点を攻撃するという約束を果たせていない。弱点とは高い利益を上げるエネルギー産業だ。

ウクライナ正教会、ロシア正教会との関係断絶

  キリスト教東方正教会のロシア正教系のウクライナ正教会は27日、ロシア正教会との関係を断絶すると表明した。ウクライナ正教会はキーウ(キエフ)で開いた会合で、ロシアのウクライナ侵攻を非難し、独立を宣言した。

ウクライナの格付けを引き下げ、「長引く」戦争リスクで-S&P

  S&Pグローバル・レーティングはウクライナの外貨建て格付けを1段階引き下げ「CCC+」とした。格付け見通しは「ネガティブ(弱含み)」。デフォルトを5段階上回る水準。

  S&Pは2月のロシア侵攻の際の当初見通しよりも紛争がより長期化していることを格付け引き下げの理由に挙げた。

トルコとのNATO加盟巡る交渉は「建設的」-フィンランド外相

  フィンランドのハービスト外相は、同国の北大西洋条約機構(NATO)加盟に疑義を示すトルコとの交渉について、フィンランドは「オープンかつ建設的に」話し合っていると述べた。ワシントンでブリンケン米国務長官と共に開いた記者会見で語った。

ロシアは過去の間違いから学んでいる-米国防総省

  米国防総省のカービー報道官は27日、ロシアのウクライナでの進展は依然として「漸進的」ではあるものの、戦場で犯した間違いから学んでいると記者団に語った。

独首相、プーチン氏との協議を続ける意向

  ドイツのショルツ首相は27日、シュトゥットガルトで開かれたパネル討論会で、ロシアのプーチン大統領との協議を続けていく考えを表明するとともに、ドイツのウクライナへの軍事支援が遅いとの批判を退けた。

ロシア、信頼ある借り手との評価を維持したい-シルアノフ財務相

  ロシアは信頼できる借り手であるとの評価を維持したいと考えており、ドル建ての支払いができなくなった後もルーブルで債務の支払いを履行し続けると、シルアノフ財務相が語った。

  同相はモスクワ金融大学の学生に対し、「外国の投資家に『あなたの国の政府がわれわれの支払いを望んでいない。従って、われわれは支払わない』と言えば、時間がたった後も記憶は残る」と発言。「だからロシアとしては、このような状況にあっても、信頼ある借り手としての立場を再確認するためあらゆる手を尽くす」と言明した。

ロシア、ドンバス地方の鉄道交通の要衝を制圧

  ロシア軍はウクライナ東部ドンバス地方で戦略的に重要なリマンの大半を制圧したと、両国の当局が明らかにした。リマンは鉄道交通の要衝でロシアが支配を狙っていた都市の一部だったほか、リマンから東方に位置するウクライナ軍を包囲できる可能性もある。

  一方、ウクライナ南部のヘルソン州を占領するロシア軍は、民間人がウクライナ政府の支配地域に逃れる交通路を遮断したと、ウクライナの当局者がキーウで記者団に語った。ロシア軍はウクライナ軍の反撃に備える防御壁の構築を進めているという。同州の生産者は穀物や果実、野菜を輸出しようとするとロシアが支配するクリミアに送られるため、輸出できないでいるともこの当局者は述べた。

ウクライナ大統領、30日のEUサミットに参加へ

  30日にブリュッセルで開かれるEU首脳会議に、ウクライナのゼレンスキー大統領がビデオリンク経由で参加する。EUは新たな対ロシア制裁パッケージでの合意に難航しており、一部の加盟国首脳は主要パイプラインを通じて輸入するロシア産石油を一時的に対象外とし、禁輸を海上輸送の石油に限る案での合意に傾いている。

ゼレンスキー大統領、G20首脳会議までの戦争終結に期待

  ウクライナのゼレンスキー大統領は、11月15-16日にインドネシアのバリ島で開かれる20カ国・地域(G20)首脳会議の前にロシアの侵攻が解決し、同会議に直接出席できることを望んでいる。

  同大統領はシンクタンク、インドネシア外交政策コミュニティー(FPCI)との共同記者会見で、可能であればインドネシアを訪問し、そうでなければオンラインで会議に出席すると表明。「首脳会議では友好国やパートナー国ばかりで、占領国や侵略国はいないだろうと確信している」と語った。

英首相、ウクライナに追加軍事支援促す

  ジョンソン英首相は、ロシアとの戦闘を続けるウクライナに対し、多連装ロケットシステム(MLRS)などより攻撃力の高い武器供給も含め、軍事面での追加支援を強く呼び掛けた。

  ブルームバーグの取材に応じたジョンソン首相は、ロシアのプーチン大統領と交渉する見通しについて問われ、「脚をかみちぎっている最中のワニには対応できない」と返答。「この男は全く信用できない」と続けた。

英首相、ウクライナに追加軍事支援促す-プーチン氏は「ワニ」 (1)

中国、ロシア産原油輸送でタンカーを追加契約

  中国の石油取引大手ユニペックは、ロシア極東から原油を輸送するための契約タンカー数を大幅に増やした。米国や欧州がロシア産石油を敬遠する中で、中国が積極的な買い手として浮上している。

  トレーダーや海運ブローカーによると、ロシアのESPO原油をウラジオストク近郊のコズミノ港から運ぶため、ユニペックは今月に入り少なくとも10隻のタンカーを契約した。4月に比べて5倍の増加だという。コズミノから中国まで通常は直接輸送され、5日間の航路。

ロシア産石油、中国とインドの購入は過去最高

  タンカーで運ばれているロシア産石油は記録的な水準だ。ウクライナ侵攻を理由に輸入を禁止する国もある一方、インドや中国に向かうロシア産石油の量は過去最高に上る。

ロシア産石油、中国とインドの購入は過去最高-欧州抜き最大の買い手

米、長距離ロケットシステムなどのウクライナ供与を検討-報道

  米国は来週にも新たな包括的ウクライナ支援案を発表する可能性があり、これには長距離ロケットシステムなど高性能兵器が含まれる見通しだ。CNNが匿名の複数の政府当局者を引用して報じた。国家安全保障会議(NSC)内にウクライナが同システムをロシア国内への攻撃に使うのではないかとの懸念があり、政権は供与すべきかどうか揺れていたという。

西側主要国、オリガルヒが再建資金拠出なら制裁解除する案検討-報道

  西側主要国はロシアのオリガルヒ(新興財閥)がウクライナ再建に資金を拠出する場合は制裁対象から外す案を検討している。AP通信が事情に詳しい政府当局者を引用して報じた。

原題:Ukraine Latest: Pentagon Says Russia Learned From War Mistakes(抜粋)