[モスクワ 25日 ロイター] – ロシア国営ガスプロムは25日、西側諸国による制裁が依然としてロシアと欧州を結ぶ主要ガスパイプライン「ノルドストリーム1」のメンテナンスを妨げているとし、ウクライナ侵攻を受けた西側諸国による制裁が緩和されない限り、欧州向けのエネルギー供給がなおリスクにさらされていることを強調した。

ガスプロムは、ノルドストリーム1のタービンがカナダのモントリオールからロシアにゆっくりと戻る途中である旨が記された書類を独シーメンス・エナジーおよびカナダから受け取ったと指摘。ただし、「ガスプロムはこの書類を検討したが、以前から指摘されていたリスクが取り除かれておらず、さらなる疑問が生じることを認めざるを得ない」とした。

さらに「欧州連合(EU)と英国による制裁についてガスプロムからなお解決していない質問がある。この解決は、ロシアへのエンジン納入およびポルトバヤ圧縮機ステーションの他のガスタービンエンジンに関する緊急的なオーバーホールにとって重要だ」とした。

一方、ロシア大統領府のペスコフ報道官は25日、ロシアからドイツに天然ガスを送るパイプライン「ノルドストリーム1」について、点検後に修理されたガスタービンが再設置され、その後天然ガスが技術的に可能な「相応の量」供給されると述べた。さらなる機器の修理が必要だとして、供給量が増加するとは明言しなかった。

ノルドストリーム1は今月、10日間の定期点検に入った。ウクライナ侵攻を巡る対立から、点検終了後も供給が再開されないのではないかとの懸念が高まっていたが、先週からガスが再び輸送されるようになった。ただし輸送能力の40%程度にとどまっている。

ペスコフ氏は「タービンは、全ての作業の完了後に設置される。ガスは技術的に可能な量が輸送される」と述べた。

タービンの修理はシーメンス・エナジーが行っていた。

ペスコフ氏は、ノルドストリーム1で修理が必要な設備は他にもあり、シーメンス・エナジーはそのことを認識していると述べた。

また欧州へのガス供給が完全に停止することに関心がないと発言。欧州諸国が冬に向けてガスの調達・備蓄に頭を悩ませる中、欧州の供給不安でガスプロムが責められるいわれはないと述べ、欧州はロシアに科した制裁の代償に苦しんでいるという見解を改めて示した。