[香港 29日 ロイター] – 高収入の中国の金融業界関係者が大幅な給与カットに直面していることが関係筋の話で明らかになった。政府が推進する「共同富裕」に国有金融機関が歩調を合わせていることが背景にある。 

関係者4人によると、国有投資銀行の中国国際金融(CICC)と中信証券は今年、最大60%の給与カットを実施しボーナスの支払いも延期した。

別の2人は招商証券が今年から出張手当や交際費を削減したとロイターに語った。

香港の資産運用会社、銀科投資のチーフエコノミストXia Chun氏は「金融業界の給与抑制は幅広いトレンドに沿ったもので、共同富裕の一環でもある」と説明した。

中国投資銀行の給与削減は景気減速による経営悪化を受けて昨年始まった。証券業界団体が5月、国内証券会社に健全な報酬制度の構築を促し、過度なインセンティブに対して警告すると、この傾向はさらに強まった。

習近平国家主席が提唱する共同富裕を推進し、格差是正を目指す取り組みが背景にある。

国有投資銀行のある幹部は共同富裕について、もはや中央政府系金融機関だけの問題ではなく、国営投資銀行にも波及し、今年の賃金交渉の「指導的精神」になっていると述べた。

<エコノミークラス>

銀行の提出資料をロイターが調べたところ、給与水準が最も高い投資銀行30行のうち、13行が2021年に上級管理職と取締役の給与を前年より引き下げた。今年は共同富裕の推進をうたう企業が増加し、給与を引き下げる銀行が増えるとみられる。

業界筋によると、中国の投資銀行のシニアスタッフの報酬総額は、株式インセンティブを除いたベースで年間300万─1000万元(44万5000─148万ドル)。

上海を拠点とする国有投資銀行の株式営業担当幹部は、21年の報酬が1000万元を超えた管理職2人が自ら減給を希望したようだと語った。

またライバル企業のアナリストが224万元の給与明細を公開して批判を浴びたことを受けて、ぜいたくな生活を映した写真をSNS(交流サービス)に投稿しないよう会社から指導を受けたと明らかにした。

金融業界では給与やボーナスとともに特典も縮小されている。ロイターが入手したCICCの内部メモによると、5月1日から全社員が海外だけでなく国内出張でもエコノミークラスしか利用できなくなった。以前はマネジングディレクターとエグゼクティブディレクターは国内・海外でもビジネスクラスの利用が認められていた。

(Selena Li記者)