[東京 10日 ロイター] – 岸田文雄首相は10日夕、第2次岸田改造内閣発足後に記者会見し、今回は旧統一教会との関係を見直すことを了解した人だけを閣僚に任命したと述べた。宗教団体の法令違反に厳正に対処することを徹底し、国民から信頼される政権運営を目指すとした。 

首相は、政治家は社会的に問題が指摘されている団体との関係について「国民に疑念を持たれるようなことがないよう十分に注意しなければならない」と指摘。宗教団体の法令から逸脱する行為には厳正に対処すること、法務大臣をはじめとする関係大臣に被害者救済に万全を尽くすことを指示し、これらの徹底を通じて国民から信頼される行政運営を行っていくとした。

自民党と旧統一教会については「組織的関係はない」と強調した。自民党の政策決定に対して旧統一教会が不当に政策に影響を与えたとは認識していないとも語った。

<有事対応の「政策断行内閣」>

岸田首相は、新型コロナウイルス、ウクライナ危機、台湾を巡る米中関係の緊張、国際的な物価高など国内外で様々な課題が生じていると指摘。今回の内閣は、こうした有事に対応する「政策断行内閣」だと位置付けた。

首相は、日本を取り巻く安全保障環境は一段と厳しさを増しており、防衛力の抜本強化が最重要課題の一つになると述べた。年末に向けて防衛費を検討していくにあたって、対GDP比2%への早期増額を求めていた安倍晋三元首相の意見も念頭に置きながら議論を深めていきたい、と語った。

改造前の内閣で防衛大臣を務めていた岸信夫氏を首相補佐官に任命した狙いについては、安全保障における豊富な経験や知識をもって補佐してもらいたいと説明した。

追加経済対策については、まず5.5兆円の予備費を機動的に活用し、状況を見極めたうえで判断していくとの従来の発言を繰り返すにとどめた。国交正常化50周年を踏まえた日中首脳会談については、現時点では何も決まっていないと語った。

(杉山健太郎、竹本能文)