[ワシントン 10日 ロイター] – イエレン米財務長官は10日、財務省傘下の内国歳入庁(IRS)に対し、4300億ドル規模の「インフレ抑制法案」が成立した場合、IRS向けの追加予算を年間所得が40万ドル以下のいわゆる中間層の監査強化に活用してはならないと述べた。

インフレ抑制法案は、民主党の支持のみで7日に議会上院で可決された。下院は12日に採決する予定。

この法案は気候変動対策、薬価引き下げ、一部の法人税引き上げを盛り込む。企業や富裕層への課税執行の厳格化を目指し、IRS予算は10年間で約800億ドル増額する。

財務省が発表したレティグIRS長官宛ての書簡でイエレン氏は、新たな人材を「40万ドル以下の世帯や中小企業の監査割合を過去の水準に比べて高めるために活用してはならない」と述べた。

民主党は、IRSの徴税強化が気候変動対策の財源確保に寄与すると主張するが、共和党は、予算増額でIRSは税徴収執行で富裕層のみならず中間層家庭にも厳しい目を向けることになると批判している。

イエレン氏は「法案の反対派から誤った情報が発信されているが、年間所得40万ドル以下の世帯や中小企業が監査を受ける機会が増えることはない」と述べた。