[北京/台北/ワシントン 15日 ロイター] – マーキー上院議員率いる5人の米議員団が14日に事前の発表なしに台湾を訪問し、15日に蔡英文総統と会談した。蔡総統は、台湾海峡の安定した現状維持にコミットしていると表明した。

台湾には今月初めにペロシ米下院議長が訪問したばかり。ペロシ氏の訪台に反発して大規模な軍事演習を実施した中国人民解放軍は、15日に再び台湾周辺で軍事演習を実施したと発表した。

蔡総統は会談で、中国の軍事演習は地域の安定と平和への深刻な影響を与えたと指摘。「われわれは国際的な同盟国と緊密に協力し軍事状況を綿密に監視している。同時に、台湾が台湾海峡の現状維持と安定を守る決意であることを世界に知ってもらうため、できることを全てやっている」と述べた。

マーキー議員は不必要な衝突を防ぐために全力を挙げる「道義的義務を、われわれは負っている」とした上で、「台湾は厳しい時期に卓越した自制と思慮を示してきた」と述べた。

議員団は15日午後に台湾を発ったが、どこに向かっているか明らかでない。米代表機関、米国在台協会(AIT)によると、議員団はジョセフ・ウー外相や台湾議会の外交・防衛委員会のメンバーとも会談した。

これより先、総統府は声明で「中国が軍事演習で台湾海峡と地域の緊張を高める中、マーキー氏率いる代表団の訪台は、米議会の台湾に対する強い支持を改めて示している」と表明していた。

ホワイトハウスの国家安全保障会議報道官は、米議員はこれまで数十年にわたり台湾を訪れており、訪台は米国の1つの中国政策と一致していると述べた。

一方、中国人民解放軍は、15日に台湾周辺で新たな軍事演習を実施したと発表。人民解放軍東部戦区司令部は「米国と台湾が政治的な術策を弄(ろう)し、台湾海峡の平和と安定を損ない続けていることに対する厳しい抑止力」だと主張した。