世界の核軍縮の方向性を協議するNPT=核拡散防止条約の再検討会議は最終日の会合が開かれましたが、ウクライナ情勢をめぐる対立が解けず、「最終文書」の草案にロシアが反対したことから、文書は採択されませんでした。

再検討会議が前回7年前に続いて合意に至らなかったことで、世界の核軍縮がさらに停滞するのは避けられない事態となりました。

4週間にわたってニューヨークの国連本部で開かれていたNPTの再検討会議は26日午後、日本時間の27日午前8時半ごろから最後の全体会合が開かれました。

この中でスラウビネン議長は合意を目指してきた「最終文書」について「残念ながらただ1つの国が異議を唱えている」と述べ、続いてロシアの代表が発言を求め「文書は各国の立場を反映しバランスが取れていなければならない。残念ながらこの文書はそうなっていない」と述べ、合意できないという姿勢を示しました。

この結果、全会一致での合意には至らず、「最終文書」は採択されませんでした。

最大の争点となってきたのは、ロシア軍が掌握し砲撃が相次いでいるウクライナ南東部のザポリージャ原子力発電所をめぐる扱いで、ロシアとウクライナやヨーロッパの一部の国の間で対立が続いてきました。

前日に議長が示した「最終文書」の草案は、原発周辺での軍事活動に重大な懸念を示しながらも、ロシアを名指しで非難せず「ウクライナ当局による管理の重要性を確認する」という表現にとどめられましたが、ロシアはなお難色を示していました。

今回の再検討会議はウクライナ情勢の影響を受け終始議論が紛糾し、前回7年前に続いて最終文書を採択できなかったことでNPT体制への信頼が揺らぎ、世界の核軍縮がさらに停滞するのは避けられない事態となりました。

ロシア代表「採択には応じられない」

ニューヨークの国連本部で開かれているNPT=核拡散防止条約の再検討会議で26日、最後の全体会合が開かれ、ロシアの代表は最終文書の草案について「文書は各国の立場を反映しバランスが取れていなければならない。残念ながらこの文書はそうなっていない」と述べ、異議を唱えました。

その上で「いくつかの項目を変更する必要がある。もし希望があれば、われわれは時間をかけて合意に向けて対応する。しかし、それを望まないのであれば、この草案の採択には応じられない」と述べ、合意できない姿勢を示しました。