[東京 16日 ロイター] – 政府は16日、岸田文雄首相が大幅に増やすとしてきた防衛費について、2023年度から5年間の総額を43兆円程度とすることを閣議決定した。過去最大の増額で、現行5年間の計画から1.6倍に積み増す。中国が軍事力を急速に拡大する中、実戦を想定して弾薬などを確保するほか、敵の基地を攻撃する反撃能力の装備を整備、南西諸島への部隊展開能力を強化する。

43兆円は人件費や隊員の食糧費も含んだ5年間の歳出総額。年間では最終年度の27年度に8兆9000億円程度になると想定しており、22年度当初予算5兆4000億円から1.6倍超に膨らむ。

一方、同期間に計画する装備取得と施設整備にかかる総計は43兆5000億円と現計画の2.5倍を見込む。このうち27兆円が5年以内の支出分で、残りの16兆5000億円は分割後払いとして28年度以降に繰り越す。

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戦闘継続能力を重点的に強化し、実際に戦うことになった場合に不足している弾薬やミサイルを積み増す。保管に必要な弾薬庫も整備する。抑止力を高めるためとして、米製のトマホーク巡航ミサイルなど、敵の作戦拠点を攻撃する長距離弾を集中的に取得する。

防衛研究所の高橋杉雄・防衛政策研究室長は「弾薬・誘導弾、装備の部品をきっちり確保することを明記していることがポイント」と指摘。「今の自衛隊は保守・整備などの問題で装備がすべて稼働できる状態にない。増額する予算は自衛隊がきちんと活動できるためのもので、本気で自衛隊を使える形にしようとしている」と語る。

中国が海洋進出を強める南西方面に、本土から素早く部隊や武器を移動させるため輸送能力も増強する。輸送船を約8隻取得するほか、輸送用のヘリコプターや固定翼機を調達する。民間の輸送能力活用に向けた予算も確保する。

このほか、英国、イタリアと共同開発することで合意した次期戦闘機の設計費用などに7700億円を充てる。

23年度を最終年度としてた現行の5カ年計画は1年前倒しで廃止する。