Sonali Basak

  • 資産は「腫瘍」のように膨張、金利上昇で破裂のリスク
  • 現在のバリュエーション、歴史上で最も奇妙ータレブ氏
ナシーム・ニコラス・タレブ氏 Photographer:Jerome Favre/Bloomberg

ベストセラーとなった著書「ブラック・スワン」で2008年の金融危機を予言したナシーム・ニコラス・タレブ氏が投資家にメッセージを発している。痛みを伴う現実への回帰に備えろ、だ。

  「ディズニーランドは終わり、子供は学校に戻る」とタレブ氏は30日、自身が助言するヘッジファンド会社ユニバーサ・インベストメンツなどがマイアミで開いたイベントで発言。「過去15年のようにスムーズには行かなくなるだろう」と続けた。

  超低金利時代が巨大な資産バブルをつくり出し、不平等を加速させたとタレブ氏は主張。米金融当局が以前のような水準に金利を引き上げる一方で、投資家は高金利の世界に戻る用意がほとんど整っていないとの見解を示した。

  金融危機で緩和マネーがあふれたため、過去15年で投資家はキャッシュフローの重要性を忘れたと論じ、仮想通貨は低金利時代が続いた市場の甘さを表していると指摘。「この数年、資産は恐ろしく膨張した。腫瘍のようにだ。この表現が最も適していると思う」と語った。

  タレブ氏によると、低金利下で膨らんだ「腫瘍」はビットコインから不動産価格に至るまであちこちで見受けられる。そのような「幻想の富」は推計5000億ドル(約65兆円)余りに上るという。

  新たな金融環境で苦しむであろう現金燃焼企業の例として、ツイッターに言及。イーロン・マスク氏を名指しすることはなかったものの、ツイッター買収者はキャッシュフローについて厳しい洗礼を受けている「素晴らしい金融マインド」の持ち主だと皮肉った。

  タレブ氏に師事するユニバーサのマーク・スピッツナーゲル最高投資責任者(CIO)は先に、債務の膨張ぶりを考慮すれば、市場は1930年代の大恐慌にも匹敵するような「一触即発の時限爆弾」を抱えていると述べていた。

ブラックスワン・ファンドが警告、市場は「発火装置および時限爆弾」

  タレブ氏も同様に悲観的だ。

  「しばらくの間、状況はよくないだろう。現在のバリュエーションは歴史上で最も奇妙だ」と語った。

原題:Black Swan’s Taleb Warns ‘Disneyland’ Is Over for Investors(抜粋)