Katia Dmitrieva

  • インフレリスクを過ぎ去ったものとして見なすのは時期尚早
  • 金融環境の緩和がインフレを再燃させかねない
Paul Krugman Photographer: Christopher Goodney/Bloomberg

ノーベル経済学賞受賞者のポール・クルーグマン氏は、投資家がインフレリスクを過ぎ去ったものとして見なすのは時期尚早で、金融環境の緩和がインフレを再燃させかねないと懸念を示した。

  「市場が先走り過ぎているのではないかとやや不安になる」と、クルーグマン氏は30日のブルームバーグテレビジョンの番組で語った。「市場はインフレが終わったかのような価格設定になっているが、これは自ら実現を阻む予言かもしれない」と指摘した。

  昨年12月の米インフレ指標は押しなべて低下し、米連邦準備制度が数十年ぶりの急激なインフレを抑え込むのに成功した兆候は増えている。

  クルーグマン氏は、インフレは「かなり速いペースで鈍化している」とし、沈静化が続くだろうと予想する一方で、闘いは終わったという「確信の度合い」が強過ぎるのはリスクだと指摘した。

  「インフレの脅威が過ぎ去ったという認識から金融市場の環境は大きく緩んだが、これは実際にある程度のインフレを再燃させ得る」と分析した。

  物価上昇圧力が消えてはいないことを示す兆候はある。エネルギー価格は下がったものの食料品は高水準が続く。賃金上昇は労働市場の強さを浮き彫りにする。

  データは米経済にさまざまな相反する流れが渦巻いていることを示唆するが、遅行指標である場合が多く、経済の現況を読むのが難しくなっているとクルーグマン氏は指摘。

  「非常に無秩序な時代であり、不明なことが多い」と述べた。

原題:Krugman Says Over-Confident Markets Risk Reigniting Inflation(抜粋)