[ワシントン 31日 ロイター] – 米国は31日、ロシアが米ロの核軍縮の枠組みである新戦略兵器削減条約(新START)に違反していると非難した。核関連施設の査察を認める義務を果たしていないことを理由に挙げた。

国務省報道官は声明で「ロシアによる査察活動支援の拒否は、米国が条約の下で重要な権利を行使することを阻害し、米ロ核軍縮の実現可能性を脅かしている」と述べた。

同時に、ロシアには査察活動を許可し、条約順守に戻る「明確な道筋」があるとし、米政府は引き続き条約の完全履行に向けロシアと協力する用意があるとした。

また、「新STARTは依然として米国の国家安全保障上の利益にかなう」と述べた。

インタファクス通信によると、ロシアのアントノフ駐米大使は「軍縮は地政学的現実から切り離すことはできない」と述べ、ロシアは今のところ米軍を戦略施設に迎え入れることは不適切だと考えているとした。

それでもなお、新STARTのその他の規定や制限には従うと語った。

ロシアは昨年8月、米国による渡航制限を理由に、新STARTに基づく査察活動を一時停止する方針を米国に通告。

米ロは査察再開について昨年11月にエジプト・カイロで協議を行う予定だったが、ロシアは協議を延期し、双方はその後、新たな会談の日程を決定していない。

新STARTは2011年に発効し、21年に5年間延長された。

ロシアは30日、米国に対し、新STARTがこれ以上は延長されず、26年に失効する可能性があると伝えた。

ロシアのリャプコフ外務次官は、26年以降に新STARTが存在しないことを想定しているかとの質問に対し、「かなり可能性のあるシナリオだ」と答えた。ロシア国営通信社RIAが報じた。