[7日 ロイター] – 最先端のデジタル技術を舞台に活動する投資家にとっては、暗号資産(仮想通貨)の「総本家」とも言うべきビットコインはいささか古めかしい存在に映り始めている。

実際、一部の投資家はビットコインから、その高い成長力に魅せらる形で幾つかの別の暗号資産に乗り換えつつある。対象となっているのは、スマートコントラクト(売買契約を自動作成する仕組み)や分散型金融(DeFi)アプリを構築できるブロックチェーン・プラットフォームでそれぞれ使用される「ネイティブトークン」だ。

イーサやポルカドット、ソラナといったそれらのネイティブトークンの値動きに連動するマーケットベクターのスマートコントラクト・リーダーズ指数を見ると、今年に入ってからの上昇率は36%と、ビットコインの33%を上回っている。ソラナに至っては76%も上昇した。

暗号資産専門投資会社フィネキアのバンディープ・ランガー最高経営責任者(CEO)は、数ある暗号資産のうち最大のリターンが期待できるのは、DeFiアプリを支えるプラットフォーム上のスマートコントラクト型トークンだとの見方を示した。

ランガー氏は「これらは成長株のようなキャピタルゲインが見込める」と付け加えた。

コインシェアーズのデータによると、ビットコイン関連商品からは4週連続で資金が流出しているにもかかわらず、イーサとソラナに連動する投資商品は小幅に資金が入ってきており、投資家の間にもランガー氏の見立てに賛同する向きがいることが分かる。

時価総額トップ20の暗号資産の中には、イーサ、ポルカドット、ソラナ、カルダノなどのスマートコントラクト型トークンが入ってきている。

バンク・オブ・アメリカのアナリストチームも、スマートコントラクト型トークンとそれに対応するブロックチェーンベースのアプリを、株式市場におけるハイテク銘柄などの成長株になぞらえた。

2月24日付の調査ノートには「われわれは、今年がトークン間の価格がかい離する1年になると予想している」と記されている。

<なお大きい存在感>

ビットコインは長らくハイテク株と値動きが連動していたが、そうした関係は薄れつつある。スマートコントラクト型トークンが暗号資産分野の成長余地を次第に取り込み始めたことが原因だ。

ナスダック総合指数とビットコインの30日間の相関係数は2月23日に、昨年12月上旬以降で初めてマイナスに転じた。同係数はプラス1の場合、値動きの完全な連動を意味する。

ただ何人かの専門家は、世界的なマクロ経済の見通しや主要中央銀行の政策が、さまざまな暗号資産プロジェクトとそれらに対応するトークンの成長に影を落とす恐れもあるとくぎを刺した。

コインシェアーズの調査責任者ジェームズ・バターフィル氏は、暗号資産の間で値動きに大きな格差が生じると宣言するのは時期尚早だと警鐘を鳴らす。現にビットコインの存在感はなお大きく、年初時点で38%だった暗号資産市場の全時価総額に占める比率は足元で40%に拡大している。

一方でバターフィル氏は、値動きの大きな格差が現実になれば、それは暗号資産の世界が成熟している証拠かもしれないと述べた。

同氏は「暗号資産市場が進化し、より洗練されて成熟度が高まるのに伴って、われわれは価格のかい離が進むのを目にし始める、という考えを次第に受け入れていくべきだ」と主張している。

(Hannah Lang記者、Lisa Pauline Mattackal記者)