[5日 ロイター] – ロシア民間軍事会社ワグネル創設者のエフゲニー・プリゴジン氏は5日、10日に部隊をウクライナ東部ドネツク州の要衝バフムトから撤退させると表明した。

プリゴジン氏は軍参謀総長、国防省、最高司令官であるプーチン大統領に宛てた書面の声明で「撤退するのは、弾薬がなければ無意味に滅びる運命にあるからだ」と述べた。

撤退は、ロシアの対独戦勝記念日の翌日というタイミングでプーチン大統領にとっては打撃となる。ロシア大統領府は、声明について、ウクライナでの「特別軍事作戦」に関わるとして、コメントを差し控えた。

ワグネルはロシアのバフムト攻略を先導する形で戦い、3週間前にはバフムトの80%以上を制圧したと主張していた。

しかしウクライナ軍も激しく抵抗、ワグネルはロシア政府の支援を得られず消耗し、プリゴジン氏はプーチン政権に対する不満を募らせた。

プリゴジン氏は声明で「弾薬が不足しているため、われわれの損失は毎日飛躍的に増加している」とし、声明に添付された動画で「配下の若者たちは弾薬のないバフムトで無駄で不当な損失を被るわけにはいかない」と述べた。

<弾薬はどこだ!>

5日、声明とは別に投稿された動画で、プリゴジン氏は、ワグネルの戦闘員とする数十人の遺体の中に立ち、「弾薬が70%不足している。ショイグ(国防相)! ゲラシモフ(参謀総長)! 弾薬はどこだ」と声を張り上げた。

プリゴジン氏は声明で、ゲラシモフ参謀総長に対し、バフムトのワグネル部隊を正規軍に置き換え、その時期を明示するよう求めた。

撤退については非難を覚悟しているとした。また再び戻るとも約束。「傷を癒し、祖国が危険にさらされたとき、祖国を守るために再び立ち上がるだろう」と述べた。