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ロシア政府の報道官は24日、ウラジーミル・プーチン大統領が一時、心停止に陥ったとのうわさを否定し、大統領は健康であり、公の場で影武者を使用することはないと語った。

うわさの発端となったのは、メッセージアプリのテレグラムで、ロシア対外情報局(SVR)の元メンバーを名乗る人物が運営するチャンネル「ゲネラルSVR(SVR将軍)」の投稿。プーチンが22日に心停止に陥ったとの情報を、根拠を示さずに伝えていた。

ゲネラルSVRは24日の投稿で、本物のプーチンが「自宅の集中治療室」にいる間、影武者がブラジルのルイス・イナシオ・ルラ・ダシルバ大統領と電話会談を行ったと主張。影武者は今後「一時的に」プーチンの代理として公の場に登場する予定だとした。

だがロイター通信によると、ドミトリー・ペスコフ報道官は「プーチン大統領は健康だ」と明言。影武者のうわさは「ばかげたデマの一部」であり、「笑うしかない」と一蹴した。

ニュースサイトのインサイダーによると、ゲネラルSVRは2020年に登場し、ロシアの対外情報局など国家機関から入手した情報を発信しているとみられる。以前にも、プーチンの健康状態の悪化や、影武者の利用に関する主張を行ってきた。

プーチンは2020年、国営タス通信とのインタビューで、過去に影武者の使用を提案されたが、拒否してきたと説明していた。だがプーチンの健康状態が悪化しているとの臆測は、他国の政府当局者の間でも飛び交っている。

米紙ニューヨーク・タイムズは今年4月、プーチンが化学療法を受けているとの情報をウクライナ高官2人が話し合っていたと報道。ナンシー・ペロシ米下院議長(当時)は昨年、MSNBCテレビに対し、プーチンの容体について「がんだと言う人もいれば、新型コロナウイルスによるブレインフォグ(記憶力や集中力の低下)だと言う人もいる」と語った。

だが米中央情報局(CIA)のウィリアム・バーンズ長官はその後、プーチンは「健康だ」と判断したと言明。英対外情報部「MI6」のリチャード・ムーア長官も「プーチンに深刻な病気があるという証拠はない」と述べた。

なお、政府高官による影武者の使用が確認された事例は存在する。ヘンリー・キッシンジャー国家安全保障問題担当大統領補佐官の元側近ウィンストン・ロードは2008年、CNNテレビに対し、1972年の中国訪問では大統領警護隊(シークレットサービス)の隊員がキッシンジャーになりすましたと語っている。

forbes.com 原文

翻訳=上西雄太・編集=遠藤宗生