岸田総理が所信表明演説で表明した所得税減税の具体策が今朝の新聞などで報じられている。読売新聞オンラインは「来年度に限り、所得税などを定額で1人あたり4万円減税するとともに、低所得世帯向けに1世帯あたり7万円程度を給付する案を軸に具体策の調整に入った」と報じている。23日の所信表明の際には26日に党に正式に検討を指示すると表明した気がする。それを待たずに具体案が漏れてくるところに、総理の運びの拙さ、認識の甘さ、解散するのかしないのか腹の座りの悪さが伺ええる。それはともかくとして、4万円が是か否か、これから様々な論議が巻き起こるだろう。個人的には「取りすぎた税金を還元する」というなら、最善の策は消費税の減税だと思う。恒久減税が無理なら3年程度の期限付き減税でも仕方ない。現時点で政府が検討すべきは税金の取りすぎが、一過性か構造的かの見極めだろう。それによって先行きの財政運営や経済政策のあり方が大きく変わってくるはずだ。

読売新聞によると今回の減税が実施されると「家族3人(妻と子供2人)を扶養している場合、(1世帯あたり)計16万円の減税となる。(必要な財源は)所得税と住民税の減税は3・5兆円規模、給付を合わせた総額は5兆円規模に上る見通しだ」。要するに総額5兆円規模の減税といえばわかりやすい。23年度の税金の取りすぎは6兆円を超える見通し。還元策を実施してもまだ約1兆円取り過ぎている。一人当たり4万円の減税と聞いて、某テレビのインタビューに応じた視聴者が「ケチくさい」との感想を述べていた。岸田政権がケチくさいのは4万円ではなく、取りすぎた税金のうち1兆円を手元に残していることだ。推測するに財務省の入れ知恵だろう。防衛費の増強策や異次元の少子化対策を推進するにあたって、増税路線を虎視眈々とねらっている総理の「増税メガネ」、曇って実態を見誤っているのではないか。問題のポイントはそこにある。

バブル崩壊後の日本経済は、経済成長が止まったまま税収も増えなかった。これを総称してデフレ体質というのだろう。それを脱却すべく政府・日銀は総がかりで、あらゆる手立てを講じてきた。だが、何をやっても効果はなく、岸田政権になって安倍政権が封じていた増税路線が水面下でこっそりと浮上し始めていた。これが岸田総理の「増税メガネ」だ。ところが経済の実態が激変した。コロナとプーチンの大義なき戦争の“お陰”で、物価が急騰。失った30年のあいだ続いたデフレが雲散霧消したのだ。こうなればコスト上昇分は価格に転嫁するしかない。連れて賃金も上がる。安倍元総理が唱えた「経済の好循環」が政府・日銀の政策転換を待たずに始まったのだ。岸田総理がいまやること、それはこの流れに竿さすことだ。時期を外さず、タイミングよく、消費者の期待に応えること。減税はタイムリー、問題は実施が早くても来年夏という点にある。もっと早く、思い切って減税すれば確実に「増税メガネ」はとれる。岸田総理が気付かないうちに、日本経済の構造が変化し始めているのだ。

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