• パウエル議長が利下げ先延ばし示唆、BofAとモルガンS決算
  • 世界経済見通し上方修正、日鉄による買収計画、世界が「フリーズ」
Commercial buildings in Pudong's Lujiazui Financial District in Shanghai, China
Commercial buildings in Pudong’s Lujiazui Financial District in Shanghai, China Photographer: Raul Ariano/Bloomberg

中国経済の勢いが持続するかは疑わしいと、ブルームバーグ・エコノミクスが指摘しています。1-3月(第1四半期)国内総生産(GDP)は市場予想を上回りましたが、そのほとんどは公共投資による押し上げだと分析。一方で3月の小売売上高と工業生産は予想に届かず、景気回復が心もとないことを示唆しているとしています。このところの人民元安や米国の利下げ時期が想定より遅れるとの観測を背景に、中国人民銀行による金利引き下げ余地も限られているようだと指摘しています。

より長い時間かかる可能性

米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長は、金融当局が利下げに必要な確信を得るにはより長い時間がかかる可能性が高いとの認識を示した。ワシントンでカナダ中央銀行のマックレム総裁とパネル討論会に参加。「最近のデータがわれわれの確信を深めるものでないことは明らかであり、それどころか確信を得るには想定以上に時間がかかる可能性が高いことを示唆している」と発言。「労働市場の強さとこれまでのインフレ面での進展を踏まえると、景気抑制的な金融政策が作用する時間をさらに与え、当局としてデータと変化する見通しを指針とするのが適切となろう」と述べた。

米銀2行の決算

バンク・オブ・アメリカ(BofA)は1-3月(第1四半期)に費用が増加し、不良債権の貸し倒れ償却はアナリスト予想を上回った。トレーディング事業は好調だったものの、投資家を満足させる内容ではなく、株価は下落した。貸し倒れ償却は総額15億ドル(約2320億円)と、2023年10-12月(第4四半期)から26%増加した。市場予想は12億6000万ドルだった。モルガン・スタンレーの1-3月トレーディング収入は予想を上回った。ウェルスマネジメント部門の収入も予想以上となり、テッド・ピック新最高経営責任者(CEO)にとって良い滑り出しとなった。

前回予測から引き上げ

国際通貨基金(IMF)は、米国と一部の新興国市場の好調を理由に今年の世界経済成長見通しを小幅に上方修正した。最新の世界経済見通し(WEO)で、今年の世界経済成長率を3.2%と予想。1月時点の予測から0.1ポイント引き上げた。2025年の成長見通しは3.2%で据え置いた。今年の米成長率見通しについては、1月時点の2.1%から2.7%に上方修正。中国は今年4.6%、来年4.1%と、1月の予想から変更なし。不動産セクターと内需の弱さが経済活動を圧迫する見込みだ。ロシアは主要国の中で最も大きく成長見通しが引き上げられた。

日鉄の買収計画でイエレン長官

イエレン米財務長官は日本製鉄によるUSスチール買収計画について、「米国の手に残るべきだというバイデン大統領の見解を確かに受け入れる」と述べた。同氏は買収案を審査する対米外国投資委員会(CFIUS)の議長を務める。イランによる先週末のイスラエル攻撃に関しては、米国は数日内に対イラン制裁を強化すると警告。イランのテロ資金調達を妨げるため「あらゆる選択肢」がテーブルの上にあるとし、「イラン政権の悪質で不安定化を招く行動を引き続き阻止すべく」米国は同盟国と協力することをためらわないと述べた。

「ややフリーズ状態」

世界中の政策当局者がドル上昇と米金利高止まりへの対応に苦慮していると、モハメド・エラリアン氏は指摘した。「全般的なドル高にどう対応するべきか、世界中の当局者がややフリーズ(停止)状態に陥っている」とブルームバーグテレビジョンで発言。「米金利の全般的な上昇にどう対応するのか」と問いかけた。エラリアン氏は当局が行動できなくなっている主な例として、円が最近1ドル=154円台に下落したことを挙げた。こうした円の動きにもかかわらず、日本当局は為替介入にまだ踏み切っていない。

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