• 米イラン協議「2日以内」とトランプ氏、外交継続で買い安心感の声
  • ドル売られ対円では158円台後半、インフレ懸念和らぎ米国債も上昇
にゅーよー
にゅーよーPhotographer: Michael Nagle/Bloomberg

Ira Iosebashvili、Isabelle Lee、Vildana Hajric

14日の米金融市場では、停戦合意に向けた米国・イラン再協議への期待から原油価格が大きく下げ、株式は続伸した。原油価格の下落でインフレ懸念が和らぎ、国債も値上がり。半面、ドルは再び売られ、対円では1ドル=158円台後半に下落した。

株式終値前営業日比変化率
S&P500種株価指数6967.3881.141.18%
ダウ工業株30種平均48535.99317.740.66%
ナスダック総合指数23639.08455.341.96%

  S&P500種株価指数は1.2%高と、1月下旬につけた最高値に迫った。ナスダック100指数は1.8%高。10営業日続伸し、2021年以来の長期連続高を記録した。

  関係者によると、米国とイランは、停戦延長に向けた協議を数日中に再び行うことで調整を進めている。今月7日に発表した停戦期限が来週切れる前に新たな協議を行うことが目的だという。

  トランプ大統領はニューヨーク・ポスト紙とのインタビューで、パキスタンでの米イラン協議が「今後2日以内に始まる可能性がある」と述べた。

  関係者によると、イランはホルムズ海峡経由の海上輸送を一時的に停止することを検討している。米国の封鎖を試す事態を避け、次回の和平交渉を頓挫させることがないようにするためだという。

  サクソ・マーケッツのチーフ投資ストラテジスト、チャル・チャナナ氏は「市場はすでに、何らかの形で外交努力が継続するとの見方に傾いていた」と指摘。「このシグナルは期待をより具体的なものに変えた点で重要であり、買い安心感につながっている」と述べた。

  「重要なのは停戦協議で進展があるかどうかではなく、協議で進展があるかもしれないと合理的に期待できるかどうかだ」と話すのはインタラクティブ・ブローカーズのチーフストラテジスト、スティーブ・ソスニック氏だ。「雰囲気は現実よりも強い影響力を持つ」という。

  イラン戦争が経済見通しに影を落とす中、1-3月期(第1四半期)の決算発表にも注目が集まった。JPモルガン・チェースはトレーディング収入が過去最高を記録したが、株価は下落した。ウェルズ・ファーゴも下落。同行はプライベートクレジットのエクスポージャーが約362億ドルと明らかにした。

  一方、シティグループの株価は上昇。有形普通株主資本利益率(ROTCE)が四半期ベースで5年ぶりの高水準となったことが好感された。

  ステファノ・パスカーレ氏率いるバークレイズの株式デリバティブ戦略チームは「停戦が維持され決算が上振れすれば、株式は短期的にじり高を維持する可能性があるものの、本質的には不安定なもようだ」と指摘した。

  一方、エネルギー株は対イラン戦争開始以降の上げを全て失う見通しだ。停戦協議への期待から原油が高値から押し戻されていることが背景にある。

米国債

  米国債は上昇(利回りは低下)。米・イラン再協議への期待から原油価格が大きく下げ、インフレ懸念が和らいだ。

国債直近値前営業日比(bp)変化率
米30年債利回り4.86%-3.9-0.79%
米10年債利回り4.25%-4.7-1.10%
米2年債利回り3.74%-2.9-0.78%
米東部時間16時41分

  もっとも、原油価格は過去の水準からみると依然として高止まりしていることから、債券が大きく上値を伸ばす展開にはなっていない。

  3月の米生産者物価指数(PPI)は予想を下回る伸びにとどまったが、市場の反応は限られた。

  PPI統計の内訳で、インフレ指標として米連邦準備制度理事会(FRB)が重視する個人消費支出(PCE)価格指数に反映される項目の一部が強めの数字だったことが背景にある。

  債券投資家の間ではインフレが今後悪化するとの見方が根強く、今回のPPI下振れを懐疑的に受け止めていることも影響した。

  シティグループ・グローバル・マーケッツの金利ストラテジスト、ラガブ・ダトラ氏は「短期金利に影響する一部の要素は、むしろ強い内容となっている」と指摘。さらに今後発表される統計で「インフレ鈍化の兆候を目にするのは難しくなるだろう。誰も先行きを正確に見通すことはできない」と述べた。

  金利スワップ市場では、年内にFRBが政策金利を0.25ポイント引き下げる確率を約3分の1と見込んでいる。戦争が始まる前は、少なくとも2回の利下げが織り込まれていた。

  米上院銀行委員会は、トランプ氏が次期連邦準備制度理事会(FRB)議長に指名したケビン・ウォーシュ氏の公聴会を来週開く予定だと、スコット上院銀行委員長が述べた。公聴会の具体的な日程は明らかにしなかったが、米ニュースサイトのパンチボウルは21日に設定されたと報じた。

  国際通貨基金(IMF)は最新の世界経済見通し(WEO)で、今年の世界経済の成長率見通しを1月時点の3.3%から3.1%に引き下げた。中東での戦争が大規模な石油ショックを引き起こしたことを反映した。

為替

  ニューヨーク外国為替市場では、ドル売りが継続。米国とイランの停戦協議再開への期待を背景に、安全資産としてのドルの妙味が薄れた。

為替直近値前営業日比変化率
ブルームバーグ・ドル指数1193.27-3.27-0.27%
ドル/円¥158.82-¥0.63-0.40%
ユーロ/ドル$1.1795$0.00360.31%
米東部時間16時41分

  ブルームバーグ・ドル・スポット指数は7営業日続落と、2024年3月以来の長期連続安となった。

  円は対ドルで反発し、158円台後半に上昇。一時は0.5%高の158円60銭まで買われた。

  日本銀行は今月に示す新たな経済・物価見通しで、中東情勢の緊迫化を受けた原油価格の高騰を主因に消費者物価の大幅な引き上げを検討する見込みだ。複数の関係者への取材で分かった。

  INGの外国為替ストラテジストはリポートで「米国によるホルムズ海峡封鎖は事態のエスカレートではあるものの、原油輸出喪失による経済的コストを踏まえれば、最終的にはイランを交渉のテーブルに引き戻す可能性があると市場はみているようだ」と指摘。

  市場が楽観的な解釈に大きく傾いていることで、ドルには相応の楽観論がすでに織り込まれており、「再び緊張が高まれば、ドルの反発余地が高まる」と述べた。

  ドルと株式市場のボラティリティーの関係は、イラン戦争によって再び強まりつつある。トランプ関税を巡る混乱で昨年は米国資産を敬遠する動きも出ていたが、安全資産を求める投資家がドルに再び資金を振り向けていることを示唆している。

  ウニクレディトのリサーチエコノミスト、エドアルド・カンパネッラ氏によると、イラン戦争開始以降、ドルは原油価格よりも株式市場のボラティリティーとの相関が「著しく」強まっている。

  同氏は先週のリポートで「世界的にリスク回避が急激に強まる局面では、投資家は最も流動性の高いドルへと回帰している」と指摘した。

出典:ブルームバーグ

原油

  原油先物相場は大幅安。米イラン協議再開の可能性が意識された。ウェスト・テキサス・インターミディエート(WTI)原油5月限は前日比7.80ドル(7.9%)安の1バレル=91.28ドルで終了。北海ブレント先物6月限は4.57ドル(4.6%)安の94.79ドルで引けた。

  戦争が終結し、ホルムズ海峡の通航が再開されれば、6週間にわたる戦闘で失われた原油供給が回復し始めることになる。ただ専門家は、エネルギー市場への影響は今後数カ月から数年にわたり続く可能性があると警告している。

  CIBCプライベート・ウェルス・グループのシニア・エネルギー・トレーダー、レベッカ・バビン氏は「原油相場は交渉再開やホルムズ海峡の正常化への期待を背景に下落しているが、価格の動きは需給要因よりもポジションやテクニカル要因に左右されている」と指摘。「市場は、次に流れてくるニュースに身構えている」と語った。

  ホルムズ海峡を通過する船舶の動向に注目が集まる中、同海域で米国の封鎖を通過した船は確認されていないと、米中央軍はX(旧ツイッター)への投稿で明らかにした。

  ホワイトハウス当局者によると、米国はイランの原油収入に対する圧力を強める一環として、一部のイラン産原油の購入を一時的に認めている制裁免除措置を今週末に失効させる方針だ。

  国際エネルギー機関(IEA)は、今年の世界石油需要が新型コロナ禍以来、初めて年間で減少するとの見通しを示した。中東紛争に伴う価格高騰が需要の伸びを打ち消すことが理由だとしている。ビロル事務局長は前日、イラン戦争による前例のない供給危機の深刻さは原油価格にまだ十分反映されていないが、いずれ反映されると述べていた。

  金相場は3営業日ぶりに反発。米国とイランの和平交渉への期待が再び高まり、インフレ懸念が和らいだことが背景にある。

  この日の原油相場下落は、イラン戦争開始後に金相場の重荷となってきたインフレ圧力を一部和らげた。エネルギー価格の高止まりと米消費者物価上昇への懸念から、市場では中央銀行が政策金利を長期間据え置く、あるいは引き上げるとの見方が広がり、利子を生まない金には逆風となってきた。 

  グローバルX ETFsの投資ストラテジスト、ジャスティン・リン氏は「金は依然として地政学リスクに対するヘッジというよりも、金利見通しに左右されて取引されている。このため、夜間のうちに緊張緩和に向かうとの期待が高まる中、株式とともに恩恵を受けている」と指摘。インフレ懸念は短期的には金の重しとなる一方、原油価格が高止まりすれば最終的に景気減速を招く可能性があり、「歴史的に見て金にとってプラスに働く」と述べた。

  スポット価格はニューヨーク時間午後2時20分現在、前日比94.15ドル高の1オンス=4834.46。ニューヨーク商品取引所(COMEX)の金先物6月限は、同82.70ドル(1.7%)高の4850.10ドルで引けた。

原題:S&P 500 Closes Near Record on Iran Peace Push: Markets Wrap(抜粋)

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