
- S&P500種は今後1年で8300に上昇と予想、足元は7450前後-モルガンS
- PPIは22年以来の大幅な伸び-イラン戦争に伴うエネルギー価格高騰
13日の米金融市場では、S&P500種株価指数が反発し、過去最高値を更新した。大型ハイテク株の一角が上昇し、相場を押し上げた。米生産者物価指数(PPI)が上振れし、連邦準備制度理事会(FRB)が高金利をより長く維持するとの見方が強まったものの、相場上昇の勢いが勝った。
| 株式 | 終値 | 前営業日比 | 変化率 |
|---|---|---|---|
| S&P500種株価指数 | 7444.25 | 43.29 | 0.58% |
| ダウ工業株30種平均 | 49693.20 | -67.36 | -0.14% |
| ナスダック総合指数 | 26402.34 | 314.14 | 1.20% |
エヌビディアやテスラ、アップルの経営トップはトランプ米大統領の対中ビジネス代表団に加わっている。フィラデルフィア半導体株指数は2.6%上昇した。
原油価格の下落も投資家心理の改善に寄与した。米ウェスト・テキサス・インターミディエート(WTI)原油は1%余り下げて1バレル=101ドル台で取引を終了。米国債市場では長期債利回りが上昇した。
イラン戦争による経済への悪影響が懸念される中でも、株式相場はこの6週間にわたって上昇を続けている。HSBCホールディングスのマックス・ケトナー氏は、企業業績の力強い回復と投資家の低い持ち高が、債券利回り上昇の逆風を相殺し、株式相場には一段の上昇余地があるとの見方を示した。
モルガン・スタンレーのストラテジストは、好調な企業決算と堅調な米経済が強気相場の継続を支えるとの見方から、米国株に対して一段と強気になっている。マイク・ウィルソン氏率いるチームは、S&P500種株価指数が今後12カ月で8300に達すると予想する。足元では7450前後で推移している。
ウィルソン氏は、「地政学リスクやプライベートクレジットへの懸念、人工知能(AI)がもたらすディスラプション(破壊的な変化)といった要因があるにもかかわらず、企業業績データが底堅さを保っていることが、われわれの見方を支えている」と述べた。

4月のPPIは前年同月比6%上昇し、ブルームバーグが実施したエコノミスト調査の全ての予想を上回った。前月比の伸びも2022年以来の大きさだった。食品とエネルギーを除くコアPPIは前年同月比で5.2%上昇し、およそ3年ぶりの大幅な伸びとなった。
ベルウェザー・ウェルスのクラーク・ベリン氏は「PPIは著しく高い水準となった。生産者は1バレル=100ドルの原油高の影響を受け、幅広い生産コストが押し上げられている」と述べた。その上で「FRBはインフレ問題を抱えている」と指摘した。
PPIの構成項目のうちいくつかは、FRBが重視するインフレ指標である個人消費支出(PCE)価格指数に反映されるため、特に注目されている。こうした項目の上昇は、他の分野で見られる物価上昇圧力と比べると比較的穏やかだったと、ウェルズ・ファーゴ・インベストメント・インスティテュートのゲーリー・シュロスバーグ氏は指摘した。
FHNフィナンシャルのクリス・ロウ氏は「一つのポイントは、企業がコストを消費者に一律に転嫁している状況にはまだ至っていないことだ」と指摘した。「もっとも、企業の投入コストは大きく上昇しており、今後はコスト転嫁の動きが強まる可能性が高い」と続けた。
米国債
米国債相場は長期債が下落(利回りは上昇)。4月のPPIが2022年以来の高い伸びとなり、物価上昇圧力が意識された。
指標となる10年債利回りは一時3ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)余り上昇して4.50%と、昨年6月以来の高水準となった。
| 国債 | 直近値 | 前営業日比(bp) | 変化率 |
|---|---|---|---|
| 米30年債利回り | 5.03% | 0.8 | 0.17% |
| 米10年債利回り | 4.47% | 0.4 | 0.09% |
| 米2年債利回り | 3.98% | -1.4 | -0.36% |
| 米東部時間 | 16時47分 |
30年債利回りは一時5.05%を上回り、25年7月以来の高水準となった。13日に実施された30年債入札(250億ドル規模)では、最高落札利回りが2007年以来初めて5%を超えた。
ブリーン・キャピタルの債券戦略責任者、スコット・ブクタ氏は、「現在の利回り全般はインフレと原油価格に左右されている」と述べた。「市場はちょうどインフレ率の上昇を織り込み始めたところだ」と付け加えた。
スティーフル・ファイナンシャルのチーフエコノミスト、リンゼー・ピエグザ氏は「利上げを巡る議論が動き出す可能性はあるが、FRBはまず声明から緩和寄り姿勢を一部取り除き、様子見の立場を改めて示すだろう」とブルームバーグテレビジョンで語った。
その上で、「さらに気がかりなのは、今朝のPPIが示唆するように、痛みの大部分はまだ出尽くしていない可能性があることだ」と付け加えた。
短期金融市場では、FRBが2027年半ばまでに利上げに踏み切るとの見方が強まっている。27年6月の会合までに想定される0.25ポイントの利上げについて、市場ではそのうち24bp分が一時織り込まれ、前日時点の21bpから上昇した。
外為
外国為替市場でドル指数は3日続伸。PPIが総合、コア共に市場予想を上回ったことが材料視された。ドルは主要10通貨(G10)の大半に対して上昇した。
円は対ドルで3日続落。ニューヨーク時間には157円台後半で推移し、一時0.2%安の1ドル=157円93銭と、政府・日本銀行による円買い介入後の安値(157円94銭)に迫った。
| 為替 | 直近値 | 前営業日比 | 変化率 |
|---|---|---|---|
| ブルームバーグ・ドル指数 | 1193.74 | 1.10 | 0.09% |
| ドル/円 | ¥157.89 | ¥0.26 | 0.16% |
| ユーロ/ドル | $1.1714 | -$0.0025 | -0.21% |
| 米東部時間 | 16時54分 |
資源国通貨は堅調で、豪ドルとノルウェー・クローネはいずれも上昇した。
ポンドは3日続落し、4月下旬以来の安値を付けた。先週の地方選での大敗を受け、英国の与党・労働党内でスターマー首相に対する退陣要求が広がっていることが背景にある。
バンク・オブ・ナッソー1982のチーフエコノミスト、ウィン・シン氏は「消費者物価指数(CPI)は今後さらに上昇する可能性がある」と述べた。「どこまで上がるかはPPIの上昇分がどの程度価格に反映されるかによるが、リスクは明らかに存在する」と付け加えた。
原油
ニューヨーク原油相場は反落。米中首脳会談の結果が待たれ、方向感が定まらない商いとなった。米統計では在庫水準がまだ危険な領域まで減少していないことが示唆された。
トランプ米大統領は中国に向けて出発する前に、習近平国家主席との会談ではイラン戦争が大きな議題になる可能性は低いとの見方を示した。その上で「われわれはイラン情勢をかなりコントロールできている」と主張した。中国はイラン産原油の最大輸入国だ。
米エネルギー情報局(EIA)の週間統計では、留出油在庫が先週、3月以降で初めて増加したことが明らかになった。増加幅は19万バレルと比較的小さいが、供給逼迫(ひっぱく)懸念はある程度和らいだ。一方で原油在庫は430万バレル減少し、米石油協会(API)が予想した減少幅の2倍に近かった。
CIBCプライベート・ウェルス・グループのシニア・エネルギー・トレーダー、レベッカ・バビン氏は相場下落の要因について、EIAのデータを挙げた上で、それよりも「トレーダーは米中首脳会談を前に、いずれの方向にも本格的にリスクを積み上げたくないからだ」と説明した。「100ドルを超える水準で上値を追うことには慎重だ。この水準で語調が変われば常にボラティリティーが上昇し、トレーダーは様子見を促される」と述べた。

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イラン原油輸出の要衝カーグ島ではここ数日、原油の積み出し作業が停止していることが、衛星画像からうかがえる。イランは自国の小型船がクウェートに攻撃され、イラン人4人が拘束されたとして、クウェートが「不和をあおろうとしている」と非難した。
さらなる緊張の兆候も明らかになっている。ベトナムの国営石油会社はペルシャ湾外で米海軍が封鎖している海域を、同社の超大型原油タンカーが通過できるよう、米国に許可を求めた。同社はこのタンカーに積まれた原油が自国経済に不可欠だと主張している。タンカーはホルムズ海峡を通過したが、11日に米海軍の封鎖線付近で引き返した。
ニューヨーク商業取引所(NYMEX)のウエスト・テキサス・インターミディエート(WTI)先物6月限は、前日比1.16ドル(1.1%)安い1バレル=101.02ドルで終了。北海ブレント先物7月限は同2.14ドル(2.0%)下げて105.63ドルで終えた。
金
ニューヨーク金は下落した。米PPIでインフレ再燃が示され、高い政策金利が維持されるとの見方が補強された。
PPI統計を受けて、金は一時1%下落。米長期債利回りが上昇し、トレーダーはタカ派的な金融政策への賭けを強めた。金利上昇は利息を生まない金投資にはマイナスに作用する。

金はイラン戦争初期に急落した後、狭いレンジで推移している。紛争が長期化する中で、投資家がインフレリスクと成長懸念の間で揺れ動いているためだ。
一方、世界2位の金消費国であるインドは、金と銀の輸入関税を約6%から約15%へ引き上げた。この予想外の措置は、自国通貨の防衛と外貨準備の確保を目的としている。
金スポット価格はニューヨーク時間午後4時29分現在、前日比23.12ドル(0.5%)下げて1オンス=4692.01ドル。ニューヨーク商品取引所(COMEX)の金先物6月限は20ドル(0.4%)高い4706.70ドルで終えた。
欧州
13日の欧州債券市場は、英国債が上昇した一方、他の欧州債はほぼ横ばいだった。
英国のストリーティング保健相が、労働党党首を目指しスターマー首相に挑戦する準備を進めているとの観測が広がった。ストリーティング氏は、現政権が定めた財政規律のルールを継続するとみられており、左派系議員が後任党首となった場合に比べ、財政支出拡大への懸念が和らいだ。
政治的混乱の影響を受けやすい30年債利回りは、前日の上昇から反転し、3ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)低い5.74%となった。2年債利回りは5bp低下して4.49%だった。原油価格の小幅な下落も追い風となった。
英国の国債市場は、政治的先行き不透明感が続く中で乱高下しているが、ジュピター・アセット・マネジメントのポートフォリオ・マネージャーは、仮にスターマー氏の後任に左派寄りの首相が就任したとしても、国債市場が支出の急増を抑制するとの見通しを示した。
欧州株は、投資家が企業の決算報告を精査する中、テック株の広範な上昇に追随する形で買いが先行した。
ストックス欧州600種指数は0.8%高で取引を終えた。メルクは、ライフサイエンス部門の好調な勢いが決算に表れたことで6.8%急伸した。韓国半導体メーカー株の上昇に追随して、ASMLホールディングは4.8%上昇した。
ブルームバーグ・インテリジェンスがまとめたデータによると、欧州企業の1-3月期(第1四半期)決算の利益成長率は現時点で7.4%増で、市場予想の2.5%を上回っている。こうした堅調な業績が欧州のベンチマーク指数を支えている。
市場は、14日から予定されているトランプ米大統領と中国の習近平国家主席との首脳会談に関するニュースにも注目している。
5月13日の欧州マーケット概観(表はロンドン午後6時現在)
| 株 | 終値 | 前営業日比 | 変化率 |
|---|---|---|---|
| ストックス欧州株600 | 611.42 | +4.79 | +0.79% |
| 英FT100 | 10,325.35 | +60.03 | +0.58% |
| 独DAX | 24,136.81 | +181.88 | +0.76% |
| 仏CAC40 | 8,007.97 | +28.05 | +0.35% |
| 債券 | 直近利回り | 前営業日比 |
|---|---|---|
| 独国債2年物 | 2.71% | 0.00 |
| 独国債10年物 | 3.10% | 0.00 |
| 英国債10年物 | 5.07% | -0.04 |
原題:Stocks Get Tech Boost to Hit Fresh All-Time Highs: Markets Wrap(抜粋)
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