
[ワシントン 18日 ロイター] – バンス米副大統領は18日、米国とイランの戦闘終結に向けた覚書に不満を示すイスラエルを厳しく非難し、米国がイスラエルに提供している巨額の軍事支援に言及した上で、イスラエルにとって「唯一残された有力な同盟国」である米国に対する批判を強くけん制した。
バンス氏はホワイトハウスで行った記者会見で、イスラエルのネタニヤフ首相が米国とイランの合意に強い不満を示しているとの報道を巡る質問に対し、ネタニヤフ氏本人からそのような発言は聞いていないとした上で、イランとの合意のほか、トランプ米大統領に不満を示しているイスラエルの一部閣僚に対する非難を展開。「彼らに対し2つのメッセージを伝えたい。第一に、現時点でイスラエルに共感を示している世界で唯一の国家指導者はトランプ大統領にほかならない」とし、「私がイスラエル閣僚なら、世界で残された唯一の有力な同盟国を『攻撃』することはしない」と語った。
その上で、イスラエルを防衛してきた兵器の3分の2は「米国人の手で製造され、米国民が支払った税金で賄われた」と指摘。イスラエルの閣僚はこうしたことを念頭に置くべきとした上で、「イスラエルの問題はトランプ大統領ではない。イスラエル国内で最大の問題が米大統領だと考えている者は、イスラエルが置かれている現実を直視する必要がある」と述べた。
米国はイスラエルに対し年間約40億ドルの軍事支援を供与。両国は現在、新たな支援協定について協議している。
バンス氏の発言について、イスラエルの首相府と外務省は現時点でコメントに応じていない。
<バンス氏、イスラエル極右閣僚を非難>
イスラエル政府高官は匿名を条件に、米国とイランの合意はイランの核開発計画や弾道ミサイル計画に対する懸念に対処しておらず、イスラエルにとって不利な内容になっていると指摘。こうした見方はイスラエル指導部全体で共有されているという。中でもイスラエルの極右政党「ユダヤの力」を率いるベングビール国家安全保障相は、米国とイランの合意を厳しく非難し、イスラエル軍はレバノンに駐留し続けるべきと主張している。
バンス氏は18日に公表された米紙ニューヨーク・タイムズのインタビューで、ベングビール氏のほか、同じく極右閣僚のスモトリッチ財務相を非難。「あなた方は何を提案しようとしているのか。イスラエルは人口900万人の国だ。抱える全ての国家安全保障上の問題を殺害によって解決することはできない」とし、「イスラエルで見られる過剰反応はやや奇妙だと感じる。根底には不信感があり、米国はこの地域の信頼を得るだけのことをしてきた」と述べた。
これに対しベングビール氏はXへの投稿で「米国が20世紀のナチスに対処したのと同じように、(イスラエルは)21世紀の『ナチス』に対処する。それがわれわれの提案だ」と反論した。
トランプ大統領はこの日、「米国は平和に尽力している」とし、レバノンの親イラン武装組織ヒズボラとイスラエルの戦闘を含め、米国は「あらゆる戦線での完全な停戦」を期待していると自身の交流サイト(SNS)「トゥルース・ソーシャル」に投稿。前日は、ネタニヤフ氏と見解の相違があるとした上で、レバノンを巡り「もう少し穏やかな対応が可能だ」と伝えていると明かにしたほか、イスラエルは米国にとって「極めて小さなパートナー」であるとの見方に同意すると述べていた。
<バンス氏、60日間の停戦は18日に正式開始>
米国とイランは17日、両国大統領が署名した戦闘終結に向けた覚書の文面を公表。14項目の覚書は、4月に発表された停戦を60日間延長し、両国が最終的な停戦交渉を行うための内容となっている。
バンス副大統領は、60日間の停戦が18日から正式に始まったとし、最終交渉期間中に「今後の展開を左右する条件を定めることになるだろう」と語った。
イラン側が出席できるようであれば、今週末にも技術協議が始まるとし、自身が米国交渉団を率いる見通しとした上で、イランのミサイル問題については「最終合意の一環で、イランが全世界を脅かすミサイルを保有しないことを期待している」とした。
また、覚書署名を受け、夜間に「1250万バレル規模の石油」がホルムズ海峡を通過したと明らかにした。
トランプ政権がイラン核合意を巡り、米議会に近く説明を行うと明らかにしつつも、議会の承認を必要とせずに対イラン制裁を一時的に解除できると確信していると述べた。