7月10日から11日にかけてのイラン情勢は、軍事的な緊張状態が続く中、最高指導者の交代という国家的な節目を迎える極めて不安定な状況にあります。主な動向は以下の通りです。
1. 前最高指導者の埋葬と政治的不透明感
- ハメネイ師の埋葬: 7月10日、前最高指導者であるアリー・ハーメネイー師の埋葬が故郷の聖地マシャドで執り行われ、一連の葬送儀礼が終了しました。
- 後継者問題: 後継者として指名されていた次男のモジタバ師が、葬送行事の最後まで姿を見せなかったことが報じられており、体制内の結束や権力移行の行方に不透明感が強まっています。
2. 軍事的緊張とインフラへの打撃
- 米・イランの応酬: ホルムズ海峡での商船攻撃を巡る対立から、米軍による大規模な空爆が続いています。米中央軍はイラン国内の防空システム、軍事拠点のみならず、鉄道橋や港湾施設などのインフラも標的としており、被害は全国各地に及んでいます。
- 報復攻撃: これに対し、イランのイスラム革命防衛隊はバーレーンやクウェートにある米軍基地などを報復攻撃したと発表しており、一触即発の状況が続いています。
3. 国際市場・経済への影響
- エネルギー市場: 週初には商船攻撃と米国の報復により原油価格が急騰しましたが、7月10日〜11日にかけては「協議継続」への期待やリスクプレミアムの剥落により、市場は一時的な落ち着きを見せています。
- 制裁の再開: 米政府は、両国間の戦闘終結に向けた覚書に基づく「制裁緩和(原油輸出許可)」を取り消しており、経済的な圧力も強まっています。
4. 情勢の展望
トランプ米大統領は本格的な戦争への発展は否定的な見通しを示しつつも、イラン側との合意遵守については懐疑的な姿勢を崩していません。イラン国内では体制の立て直しと、対外的な軍事的報復の狭間で極めて困難な舵取りが求められている状況です。