• 営業益5割増、ファンド事業は2.3倍の2399億円を確保-徐々に拡大
  • 携帯は国内横ばい米国は26%減、中国アーム一部売却益1613億円計上
孫正義社長
Photographer: Kiyoshi Ota/Bloomberg

ソフトバンクグループ(SBG)の2018年4-6月期の営業利益は前年同期比49%増の7150億円と過去最高を更新した。米携帯事業が振るわなかったが、英半導体設計子会社アーム・ホールディングスの中国事業再編に伴う一時利益や、ファンド事業からの利益が全体を押し上げた。

開示資料によると、売上高は4%増の2兆2728億円、純利益は3137億円だった。営業利益はファンド事業が2.3倍の2399億円。インドの電子商取大手フリップカート株の売却合意に伴う未実現評価益1643億円などを含む。アームの中国子会社の持ち分51%を外部売却して非子会社化したことで1613億円の利益も計上した。

ファンド事業からの利益は営業利益全体の3分の1に拡大、アーム関連の一時益を除くと営業益に占めるファンド事業の割合は4割強と投資会社としての位置づけを増した。ソフトバンクは約10兆円規模に上るソフトバンク・ビジョン・ファンドなどを通じて内外の有力ハイテク企業への投資を加速している。

孫正義会長兼社長は、決算会見でビジョン・ファンドについて「AI(人工知能)は人類史上最大の革命、あらゆる産業を再定義することになる」と指摘。「AIを制するものが未来を制するという考えのもとどういう戦略を取るのか、それがまさにAI群戦略だ」とし、投資先企業と協力して革命を進める考えを示した。

投資先の将来性

エース経済研究所の安田秀樹シニアアナリストは、基本的には「AIで収益の上がる会社に投資していることが株価に反映されるのはやはり5-10年後のことだ」としながらも、「足元ではそれ以外の投資でも結果が出ており、こうした部分を評価する動きになる」と述べた。

4-6月期の通信事業では、子会社ソフトバンクなど国内の営業利益は0.7%増の2218億円、米携帯子会社スプリントの営業益は26%減の981億円だった。

孫社長は今後の自身の役割について、「ビジョン・ファンド全体を指揮することだ」と述べた。同ファンドの投資先になるような日本企業の出現には、「これから期待する」とし、そのためは日本政府による規制緩和などが必要だとあらためて強調した。

ビジョン・ファンドは、シェアオフィスの米ウィワークやインドのホテル予約サイトOYO、独中古車販売のAuto1などに投資している。一方、SBGは子会社のソフトバンクについて新規株式公開(IPO)を計画しており、早ければ今秋にも上場する方向で主幹事選定を始めている。