[ワシントン 15日 ロイター] – 米フェイスブックのブロックチェーン関連業務を総括するデビッド・マーカス氏は米上院銀行委員会での証言原稿で、規制当局の懸念に対処し承認されるまでは仮想通貨(暗号資産)「リブラ」を発行することはないと述べた。 

米上院銀行委員会はリブラについて、7月16日に公聴会を開催する予定で、マーカス氏が出席するとみられている。 

マーカス氏は証言原稿で「リブラを管理するリブラ・アソシエーションにソブリン通貨と競合する意図はなく、金融政策の領域に立ち入るつもりもない」と指摘。「金融政策は中央銀行の管轄だ」と述べた。 

その上で、リブラ・アソシエーションはマネーサービス業者として、米財務省の金融犯罪取り締まりネットワーク(FinCEN)に登録する計画で、反マネーロンダリング(資金洗浄)規制銀行秘密法(BSA)に完全に準拠するとした。 

リブラを巡っては、データの安全性やマネーロンダリング、利用者保護などに関する批判や疑念が相次いでいるが、マーカス氏はこれらの懸念に対処するために、リブラに関する提携企業は反マネーロンダリング規制を順守する必要があると言及。リブラ・アソシエーションが基本的な取引情報以外の個人情報を保持することはなく、リブラの専用デジタルウォレット「カリブラ」に提供される個人情報はフェイスブックと共有されず、ターゲット広告に使われることもないとした。 

またリブラ・アソシエーションは本拠地がジュネーブのため、スイス連邦データ保護・情報委員会の監視下に置かれるとの見通しを示したほか、リブラ・アソシエーションが「適切な規制の枠組み」でスイス連邦金融市場監督機構(FINMA)と予備的協議を行っていることも明らかにした。 

一方でマーカス氏はリブラの利点を議員に訴え、米国はこの革新的なサービスを抑え込むべきではないと主張。「フェイスブックがこの取り組みを米国で始めることを誇りに思う。デジタル通貨や決済分野でのイノベーションを米国が主導しなければ他国が主導するだろう米国が行動しなければ他国に管理されたデジタル通貨が間もなくできる」と語った。