
[ワシントン 12日 ロイター] – 米労働省労働統計局が12日発表した7月の米消費者物価指数(CPI)は前年比3.4%上昇した。前月の3.5%上昇から小幅鈍化し、市場予想と一致した。ガソリン価格は2カ月連続で下落し、基調的なインフレも落ち着きを示したことで、米連邦準備理事会(FRB)が9月に利上げに踏み切る可能性は低下した。
物価の「瞬間風速」を示す前月比は0.1%上昇し、予想と一致した。6月は0.4%下落と、6年ぶりのマイナスだった。
<FRB、9月利上げ観測後退>
モルガン・スタンレー・ウェルス・マネジメントのチーフエコノミックストラテジスト、エレン・ゼントナー氏は「予想通りの内容となったことで、先週の雇用統計発表後に広がっていた『利上げの必要はない』との見方が維持されるだろう」と指摘。同時に「9月の会合までにもう1つインフレ指標が発表されるため、状況が変わる可能性は残っている」と述べた。
BMOキャピタル・マーケッツの米国担当チーフエコノミスト、スコット・アンダーソン氏は「確定的な内容ではないものの、今回のCPI統計を受け、エネルギー価格が主導するインフレ加速に対するFRBの懸念は一段と和らぐ」と予想。ただ「FRBによる利上げの可能性を完全に排除するには、コアサービス価格の上昇が実際に鈍化していることを指標で確認する必要がある」と述べた。
ただエコノミストの間では、このところの原油価格の上昇を反映し、8月はCPIの伸びが加速するとの見方が出ている。BNPパリバ証券の米国担当エコノミスト、ブリトニー・ジャクソン氏は「FRBは12月の会合で利上げを実施すると予想している」とし、「われわれの予想に対するリスクは、利上げ実施時期がさらに前倒しされる方向に傾いている」と述べた。
FRBは7月の会合で金利据え置きを決定。据え置きは5会合連続だった。CMEフェドウオッチによると、7月のCPI統計を受け、9月の次回会合で利上げが決定される確率は約38%と、前日の48.4%から低下した。
7日に発表された7月の雇用統計では、非農業部門雇用者数が5カ月ぶりに減少に転じ、過去2カ月分の雇用者数も大幅下方改定された。
<コアCPI、前年比2.5%上昇に鈍化>
7月のCPIでは、住居費が前月比0.1%上昇し、全体の上昇分の約3分の2を占めた。持ち家の帰属家賃が0.3%上昇した一方、ホテルやモーテルの宿泊料金は3.3%下落した。サッカーのワールドカップ(W杯)北中米3カ国大会終了の影響とみられる。
ガソリン価格は6月の9.7%下落に続き、7月も2.9%下落した。
食品価格は6月の0.2%上昇に続き、0.1%上昇した。
食料品店で販売される食品価格は0.1%下落した。豚肉価格が1.5%下落し、2023年11月以来の大幅な下げとなった。牛ひき肉価格も1.6%下落し、2020年9月以来の大幅な下落となった。米小売り大手ウォルマートWMT.Oが先月に牛 ひき肉価格を引き下げたことが影響した可能性がある。
レタス価格は16.4%急落。寄生虫「サイクロスポラ」に引き起こされる、激しい下痢や腹痛を伴う感染症のサイクロスポラ症の集団発生によって需要が落ち込んだことが要因とみられる。
変動の激しい食品とエネルギーを除くコアCPIは、前年比2.5%上昇し、伸びは6月の2.6%から鈍化した。前月比は0.2%上昇、6月は横ばいだった。前年比、前月比ともに市場予想と一致した。
コアCPIは、医療サービス価格が0.4%上昇したことに加え、航空運賃が2.2%上昇したことが主な押し上げ要因になった。
情報技術(IT)関連商品の価格は1.4%上昇。コンピューターおよび周辺機器、スマートホームアシスタントの価格が3.5%上昇したことで押し上げられた。