
[モスクワ 12日 ロイター] – ロシア南部クラスノダール地方の黒海沿岸の主要港ノボロシースクにある国内最大規模の2つの穀物ターミナルが11日夜から12日未明にかけてウクライナのドローン(無人機)攻撃を受けて稼働停止した。業界関係者4人が12日、ロイターに明らかにした。ロシアは世界最大の小麦輸出国で、大半がノボロシースクのような黒海沿岸の港から輸出されているため、世界の穀物市場では供給混乱への懸念が高まっている。
関係者によると稼働停止したのは、デメトラ・ホールディング所有の施設(年間輸出能力850万トン)とOZK所有の施設(年間輸出能力710万トン)。デメトラ・ホールディングの広報は、ターミナルが被害を受けたことは認めたが、詳細は明らかにしなかった。OZKは声明で、被害を受けたが負傷者はいないと説明し、詳細が分かり次第、情報を提供すると述べた。
ノボロシースクの穀物ターミナルへの攻撃を受け、ロシア農業省は、農産物輸出を代替ルートに振り向ける取り組みを進めていると表明。代替ルートにはバルト海およびカスピ海沿岸のロシア港湾のほか、極東地域の港湾や陸上輸送ルートが含まれるという。
ロシアは2014年にクリミアを一方的に併合。クリミアに対するウクライナによる攻撃が相次ぐ中、ロシアは黒海艦隊の艦艇の一部をノボロシースクへ移動させている。
ウクライナのゼレンスキー大統領は、ロシアのノボロシースク海軍基地をミサイルとドローンのほか、無人艇で攻撃したと対話アプリ「テレグラム」に投稿した。
その後、ウクライナ保安庁(SBU)はウクライナ軍がノボロシースクの黒海艦隊基地に対し、ドローンとミサイルによる攻撃を実施し、軍艦3隻のほか複数の施設を攻撃したと表明。対話アプリ「テレグラム」に投稿した声明で、「ノボロシースクの黒海艦隊基地への攻撃は戦略的な意義を持つ」とし「ウクライナは、ロシアが黒海を支配し、海軍戦力を用いてウクライナに対する戦争を遂行する能力を体系的に低下させている」とした。
SBUによると、攻撃した艦艇のうち2隻はフリゲート艦「アドミラル・エッセン」と「アドミラル・マカロフ」で、いずれも巡航ミサイル「カリブル」を搭載しているという。残る1隻は哨戒艦としている。
ノボロシースクには、米シェブロンやエクソンが一部出資するカスピ海パイプライン・コンソーシアム(CPC)などの石油輸出インフラもある。英紙フィナンシャル・タイムズ(FT)は12日、バンス米副大統領の要請を受け、ウクライナがノボロシースク港を利用する石油タンカーへのドローン攻撃を停止したと報じた。夜間の攻撃でCPCやパイプラインから原油を積み込むタンカーが攻撃を受けた兆候はなかった。
クラスノダール地方の コンドラチェフ知事によると 、今回のウクライナによる攻撃で8歳の子どもを含む少なくとも3人が死亡し、24人が負傷した。
<穀物先物、欧米で上昇>
ロシアの主要な穀物ロビー団体は先月、ウクライナの無人機攻撃により近い将来、黒海経由の穀物輸出が停止し、価格が高騰してアフリカや中東で飢餓を引き起こす可能性があると警告していた。
ノボロシースクへの攻撃が伝わり、世界的な小麦の供給懸念が高まる中、米国のシカゴ小麦先物は12日の取引で約3%上昇したほか、欧州の指標銘柄であるユーロネクスト小麦先物も2.2%上昇した。
ロシア外務省のザハロワ情報局長は、ウクライナによるロシアの穀物・農業関連インフラへの攻撃で世界の食料価格が押し上げられ、穀物不足が深刻化していると非難。こうした状況は一部の西側諸国の利益にかなうとも主張した。
ロシアによる黒海沿岸地域への攻撃も続いており、ロシア国防省はこの日、ウクライナ南部オデーサ港で軍事装備を積載した貨物船を攻撃したと表明。黒海沿岸のチェルノモルスク港にある燃料貯蔵施設や港湾インフラのほか、オチャキフ港に停泊していたウクライナの哨戒艇も攻撃したと明らかにした。
ロイターはロシア国防省の表明を独自に確認できていない。