いつものようにネットでニュースを見ていたら、ポンペオ米国務長官が日韓の仲介に乗り出すという速報が飛び込んできた。「やっぱり」というのが第一印象。文在寅(ムンジェイン)大統領がトランプ大統領に仲介を要請したというニュースが少し前にあったが、その時に「いつかこういう時が来る」という予感があった。8月1日、同長官は東南アジア諸国連合(ASEAN)の拡大外相会議出席のためタイのバンコクを訪れる。この機会を利用して河野外相や韓国・康京和外相と会談するのだろう。そして、日韓が話し合いの時間を確保するための「スタンドスティル(据え置き)協定」を締結するよう両国に要請するという段取りだ。

ロイター通信は30日に以下のニュースを配信している。「米政府高官は30日、日韓が話し合いの時間を確保するための『スタンドスティル(据え置き)協定』を締結するよう米国が求めたことを明らかにした。 この高官は、据え置き協定で二国間の問題が解消するわけではないとしながらも、あらゆる措置を一定期間未然に防ぐことはできると述べた」。微妙な時期に河野外相は米国務長官から“難題”を突きつけられることになる。というもの2日の閣議で日本は、韓国をホワイト国から除外する手続きの開始を決定する手はずになっている。ホワイト国除外は「スタンドスティル協定」に含まれるか含まれないか、この協定の実効性を大きく左右する。日本は米国の要請を拒否はできないだろう。だが、ホワイト国で譲れば安倍首相は国内で確実に「弱腰」批判にさらされる。

一連の日韓関係をフォローしていて思うのは、韓国というか文在寅政権の地政学上の変質である。韓国はこれまで思想信条の自由や市場経済への依拠など、西側諸国と価値観を共有するグループの一員だった。その韓国を文在寅政権は北朝鮮や中国、ロシア寄りに強引に誘導しようとしているように見える。3品目の輸出規制強化はその意味で、韓国の国民世論を日本バッシングに導く最高の材料となった。これを利用して文政権は日本離れを長期的に実現しようとするだろう。朝鮮半島の非核化という長期戦略を軸にすえながら、短期的には米国と付かず離れず作戦を演出し、日本に対しては利用するだけ利用するという“使い捨て戦略”を多用する。こんな“自己中”ともいうべき文政権をこともなく“あしらう”政治勢力が、日本にはあるのだろうか。