[ワシントン 10日 ロイター] – 米中両国が「第1段階」通商合意の調印式を1月15日に控える中、合意内容で完全に妥結できていないと、ホワイトハウス当局者が10日、明らかにした。 

ライトハイザー米通商代表部(USTR)代表は昨年12月15日に、86ページに及ぶ合意文書の翻訳や修正が必要なものの、合意は「完全に成立」したとの見解を示していた。 

カドロー米国家経済会議(NEC)委員長はFOXビジネス・ネットワークに対し「(翻訳は)おおむね完了している」とし、調印に向け「全て予定通り」としたが、ホワイトハウス当局者はこの日、翻訳はまだ完了していないと述べた。 

またナバロ米大統領補佐官(通商製造政策局長)はCNBCに対し、「86ページに及ぶ合意文書が中国語に翻訳されるのを待っている」とした上で、合意は保証されているとの見解を示した。 

これまでの米中通商交渉では土壇場で混乱を招いた経緯がある。2019年5月には中国側が合意文書案に修正を加えたことで合意が破棄された。 

第1段階の通商合意では中国が今後2年間で米農産物購入を年間約400億ドルに拡大するとされているが、中国政府はこのような詳細について認めていない。また足元では中国によるブラジル産大豆の購入量が増加しており、米農産物の購入拡大に疑問を投げかける。 

事情に詳しい中国当局者3人によると、米政府が交渉中に何度も姿勢を変化させたため、中国は第1段階の通商合意に関する詳細について公式に議論しないよう気を付けているという。 

当局者の1人は、重要なのは調印ではなく執行だと指摘。米中双方が1カ月にわたり文章や文言の選択について議論してきたと述べた。 

米関係者は8日、翻訳が進むにつれて「いくつかの小さな問題」が発生しているとした上で、「合意の先送りにつながるものではない」と述べた。 

トランプ米政権は1月15日の調印式に少なくとも200人の関係者を招待しており、中国側からは鐘山商務相や中国人民銀行(中央銀行)の易綱総裁、財務省や外務省の事務次官などが出席するとみられている。