[ニューヨーク 1日 ロイター] – 米上場企業による株式発行額が5月に600億ドル超と月間ベースで過去最高を記録した。新型コロナウイルス感染症のパンデミック(世界的大流行)が収まりつつあるとの期待感から株式市場が上昇したことが背景。 

S&P総合500種は、新型コロナの感染拡大で市場がパニックのさなかにあった3月下旬の安値から約40%上昇しており、2月に付けた過去最高値を10%程度下回る水準となっている。 

リフィニティブのデータによると、3月は市場の乱高下が企業の資金調達活動を抑制。株式発行額はわずか48億ドルと2018年12月以来の低水準だった。 

ただ4月は223億ドルに回復。5月には653億ドルに達し、過去最高を記録した。 

米債券市場でも同様のトレンドが見られ、企業による資金調達額は年初来で1兆ドルを超えている。 

また債券の発行と同様、株式を発行する企業は資金繰り難に直面している企業から、万一の場合に備え資金調達に動く企業にシフトしている。 

JPモルガン・チェースの米州資本市場担当責任者は「COVID─19(新型コロナウイルス感染症)により大きな影響を受け、資本の最構成を迫られた企業は多い」と指摘。「発行企業の株価は回復しており、この回復局面が短命に終わる事態に備え、機会を逃したくないとの思惑がある」との見方を示した。