[モスクワ 18日 ロイター] – ロシアに帰国直後に拘束された反体制派指導者ナワリヌイ氏(44)について、司法当局は18日、連邦警察の要請通りに裁判が行われるまで30日間の勾留を認めた。同氏を巡っては国連のほかドイツなどの西側諸国が即時釈放を訴えており、ロシアとの軋轢が高まる恐れがある。

昨年8月の毒殺未遂事件後、ドイツで療養していたナワリヌイ氏は17日、帰国直後にモスクワの空港で警官に拘束された。

これを受け、ロシア連邦検察は裁判所に対し30日間の勾留を認めるよう要請。ナワリヌイ氏の広報担当者、キラ・ヤルミシュ氏はこの日「裁判所は2月15日までの勾留を認めた」とツイッターに投稿した。裁判で数年にわたる禁錮刑が言い渡される可能性がある。

国連はナワリヌイ氏の拘束を「深く懸念」していると表明。法令に基づく手続きを取るよう要請し、同氏の即時釈放を訴えた。

ドイツ、英国、フランス、イタリアの外相が即時釈放を訴えたほか、チェコの外相はロシアに対する制裁措置を検討するよう呼び掛けた。リトアニア、ラトビア、エストニアも欧州連合(EU)外相がこの日、追加的な対ロ制裁について討議するよう訴えた。欧州が追加制裁を導入する場合、独ロのパイプライン建設計画「ノルドストリーム2」が対象になる可能性がある。

米国もナワリヌイ氏の拘束を非難。バイデン次期政権で国家安全保障担当の大統領補佐官に就任するジェイク・サリバン氏がロシア政府に対し釈放を呼び掛けたほか、ポンペオ国務長官も深い懸念を表明した。

ロシア外務省は国外からの非難を一蹴。ラブロフ外相は記者団に対し、西側諸国は自国が抱える国内問題から国民の関心をそらすためにナワリヌイ氏の拘束について騒ぎ立てているとし、ロシアはこうした動きによるイメージ悪化の影響は受けないと述べた。

これに先立ち、ロシア外務省のマリア・ザハロワ報道官はフェイスブックに「国際法を尊重し、主権を侵害しないよう求める。介入は無用だ」と投稿していた。

ナワリヌイ氏は警察署内からツイッターにビデオを投稿。「これは最大限の無法だ」とし、刑法を尊重していないとしてプーチン大統領を非難。「自分たちの将来のために、恐れずに街頭に出てほしい」と述べ、支持者に対し政府への抗議活動を実施するよう呼び掛けた。

モスクワのこの日の気温はマイナス18度。厳しい寒さにもかかわらず、同氏が拘束されている警察署の周りには約200人の支持者が集まり、釈放を訴えた。

ナワリヌイ氏の支持者、レオニド・ボルコフ氏は23日に全国的なデモを実施するとツイッターに投稿した。

ロシア大統領府はこれまでのところ対応を示していない。