[チューリヒ/ニューヨーク 30日 ロイター] – レバレッジを効かせた取引で損失を出した投資会社アーケゴス・キャピタルを巡る問題で、当局による規制強化が焦点になっている。

アーケゴスは数十億ドル規模の資産を運用しているとされるにもかかわらず、ヘッジファンド元幹部の「ファミリーオフィス」として運営されているため、規制当局から直接の監視をほとんど受けていなかった。ファミリーオフィスは裕福な家族が資産を管理運用するために設立するという

JPモルガンのアナリストらは30日、アーケゴス問題で世界の銀行の損失が100億ドルに達する恐れがあるとした上で「業界の通常の巻き戻しシナリオをはるかに超えている」と指摘。「第1・四半期の業績に大きな影響を与える可能性がある」と表明したクレディ・スイスについては、週内に完全な情報開示が行われると予想したほか、「規制当局が当該イベントを注意深く調査することを期待しており、とりわけ新政権の下で何らかの変更があっても不思議ではない」と述べた。

OANDAのシニア市場ストラテジスト、エドワード・モヤ氏は「アーケゴスのマージンコール(証拠金請求)の影響は収まっているもようだが、規制当局の監視を巡る話は当面なくならないだろう」とした上で、「全てのプライムブローカレッジが各自の帳簿をチェックしており、ファミリーオフィスやヘッジファンドに対してレバレッジを下げるよう圧力をかけ始める可能性がある」とした。

米、英、日、スイスの金融当局はいずれも状況を注視する姿勢を示している。

こうした中、ウェルズ・ファーゴは30日、アーケゴスにブローカレッジサービスを提供していたのは事実だが、エクスポージャーの解消に関する損失は出ていないと表明した。