[ニューヨーク 1日 ロイター] – 終盤のニューヨーク外為市場ではドルが下落。第1・四半期に約3年ぶり伸びで付けた水準で値固めする形になったが、バイデン米政権による2兆ドル超の景気刺激策を背景にした見通し改善を受け、先行きは引き続き明るい。

ドルは1─3月に主要6通貨バスケットに対し3.6%上げ、四半期ベースで2018年6月以来の上昇率を記録。投資家は米経済が迅速に回復すると見込んでいる。

OANDAのシニア市場アナリスト、エドワード・モヤ氏は、米国の成長見通しが欧州を圧倒しているとみていると指摘。発足3カ月未満で数兆ドル規模の刺激策第2弾を打ち出し、「米経済が熱気を帯び、ドルや米国債利回りの上昇につながるだろう」と述べた。

バイデン大統領は3月31日、2兆ドル強のインフラ投資計画を発表。政府の権限を活用して米経済を再構築し、中国の影響力拡大に対抗する。

また、米供給管理協会(ISM)が1日発表した3月の製造業景気指数は64.7と、37年超ぶりの高水準を付けた。一方、2月の建設投資は0.8%減少したほか、新規失業保険申請件数(季節調整済み)は71万9000件と前週から悪化した。

午後の取引で、ドル指数は0.3%安の92.933。

フランス政府は新型コロナウイルスの感染再拡大を受け、パリなどに適用していたロックダウン(都市封鎖)措置を3日から全国に拡大すると発表。また、ワクチン接種も米国に遅れを取っている。

一方、IHSマークイットが1日発表した3月のユーロ圏の製造業購買担当者景気指数(PMI)改定値は62.5と、1997年6月の調査開始以降で最高となった。

終盤のユーロは0.3%高の1.1768ドル。ドルは対円で0.1%安の110.61円。前日は1年ぶり高値の110.97円を付けていた。

3月の米雇用統計は、非農業部門雇用者数が約65万人増加すると予想されているが、フォレックス・ドット・コムとシティー・インデックスの市場調査グローバルヘッド、マット・ウェラー氏は、「最近の値動きを考えると、雇用統計が予想に届かなかった場合、ドルが売られるリスクが高まっている」と指摘。

そのシナリオでは、下落しているユーロ/ドルが来週初めにかけて200日移動平均線と先の支持線水準の1.1830ドル付近まで持ち直すだろうと予想した。

ドル/円 
 NY午後4時 110.60/110.61
     始値 110.78
     高値 110.80
     安値 110.55

ユーロ/ドル 
 NY午後4時 1.1774/1.1778
     始値 1.1736
     高値 1.1779
     安値 1.1734