[7日 ロイター] – 欧州連合(EU)統計局(ユーロスタット)は7日、化石燃料による二酸化炭素(CO2)の排出量が2020年に前年比10%減ったと発表した。新型コロナウイルスの感染拡大を抑制する対策により域内全土で渡航が禁止されたり工場が閉鎖したりしたことを理由として挙げた。

統計は、石油と石炭、天然ガスなどの化石燃料を燃焼した際に発生するCO2が対象。ユーロスタットによると、石油・石油製品の消費がほぼ全ての加盟国で減った。天然ガスの消費は15カ国で減少。「一方、再生可能エネルギー(特に風力と水力、太陽光)が発電に占める率が大幅に増えた」とした。

CO2排出は全27カ国で減った。減少率が最も高かったのがギリシャとエストニア、ルクセンブルクの約18%だった。EUの排出量の4分の1を占めるドイツは9%近く減少。イタリアとフランス、ポーランド、その他主要な排出国は8─11%減った。

EUは温暖化対策として、50年までに温室効果ガスの排出量を実質ゼロにする「カーボンニュートラル」を目指している。実現には、再生可能な水素燃料やエネルギーの保管などの技術を普及させ、産業界が「グリーン」化する必要がある。

ただ、フランスとドイツの裁判所が排出削減に各国が一段と尽力しなければならないとする一方、ポーランドは脱石炭に悲観的であり、EUのグリーン化資金を受け取れない可能性がある状況だ。ポーランドはEUで唯一、19年に設定した50年までのカーボンニュートラル目標に同意しなかった。石炭産業関係者の支持は長年、ポーランド政府の重要な基盤である。