[ワシントン 12日 ロイター] – 米通商代表部(USTR)のタイ代表は12日、米国と製薬会社は「今すぐに世界を救うための義務」を負っているとし、新型コロナウイルスワクチン特許権の一時放棄を求めていくと述べた。

上院財政委員会の公聴会で、世界貿易機関(WTO)での交渉はワクチン生産拡大の障害となっている特許権問題を取り除くための手段と捉えていると指摘。安全かつ効果的なワクチンを迅速に開発・製造している米企業を称賛した上で、特許権の一時放棄により企業が「英雄」になれるとした。

その上で、WTOでの交渉は他国による米国の技術「盗用」の防止というよりは、新型コロナ終息によって人々の生活にポジティブな影響をもたらす方策を見いだすことが目的と強調。「成し遂げようとしているのは命を救うことだ」とし、パンデミック(世界的大流行)の終息は今後の貿易政策において必要な最初の第一歩だとした。

また、WTOでの交渉には時間がかかり、交渉に向けたプロセスは始まったばかりとした。

コロナ危機は異例であり、数百万人の命を脅かしているため、一時放棄を巡る交渉が広範な特許権の崩壊につながるとは考えていないと言及。気候変動危機に対応する上でクリーンエネルギー技術に関する一時放棄の必要はないとした。

USTRは新型コロナ感染症の治療法、治療薬、保護具、その他の医療製品に関するより広範な特許権放棄を支持するのかとの質問には、現在はワクチンへのアクセスと公平性の拡大のみに焦点を当てていると応じた。