[ワシントン 21日 ロイター] – 米連邦準備理事会(FRB)当局者が5月の米雇用の伸びに対する予想を引き下げ始めた。企業の採用意欲は高いものの、就職が可能な、または就職する意思のある人が引き続き少ないことが要因となっている。

ダラス地区連銀のカプラン総裁は21日、雇用を巡る問題は5月に入っても続いており、雇用統計は非農業部門雇用者数が前月比26万6000人増と市場予想を下回る伸びになった4月に続き、5月も弱い内容になるかもしれないと述べた。

ダラス地区連銀がこの日発表した国内の雇用動向に関する調査によると、5月の雇用の伸びは潜在的に弱く、労働市場のボトルネックが続いている可能性が示された。

カプラン総裁は、失業保険手当や親が育児のために在宅を強いられていることなどの「構造的な問題が4月の雇用統計で見られた。これらはすぐに解消されない」と指摘。企業は求人しているものの、人材が見つからないとしており、5月の雇用統計は変則的で異常な数値になる可能性があるとした。

セントルイス地区連銀のブラード総裁も19日、米労働参加率の回復が緩慢なペースにとどまる中、雇用者が月間100万人を超えて増加するという予想は「行き過ぎ」で、月間50万人程度の増加がより現実的な見通しという考えを示した。

このような発言は、新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)の経済的影響を抑制する支援策の実施期間を巡り、FRBのジレンマが高まっていることを浮き彫りにしている。

フィラデルフィア地区連銀のハーカー総裁は21日、米紙ワシントン・ポスト主催のバーチャルイベントで、テーパリング(量的緩和縮小)に向けた最善の方策を巡り、連邦準備理事会(FRB)は「遅いよりは早め」に討議を開始すべきとの見解を示した。

また、アトランタ地区連銀のボスティック総裁とリッチモンド地区連銀のバーキン総裁も同じイベントで、テーパリングを討議する前に雇用の増加が必要との姿勢を堅持した。