【ワシントン時事】米税関・国境警備局(CBP)は28日、中国水産大手の「大連遠洋漁業金槍魚釣」に強制労働の疑いがあるとして、同社の海産物などの輸入を全米で禁止したと発表した。米政府として、新疆ウイグル自治区産の綿製品の輸入禁止に続き対中圧力を一段と強めた形だ。

 同社をめぐっては、漁船でインドネシア人乗組員が強制労働の犠牲となり、遺体が海に投げ込まれる事案が昨年発覚。インドネシア政府が非難の声明を出す事態に発展した。CBPが調査した結果、管理する30隻余りの漁船全てで人権侵害行為が確認されたという。

 CBPは同日、強制労働に基づく製品の輸入を差し止める「違反商品保留命令(WRO)」を出した。WROを特定企業とその漁船団に一括適用するのは初めて。マグロやメカジキなどの海産物に加え、問題がある原材料が使われたツナ缶やペットフードといった加工食品も対象となる。