[1日 ロイター] – 世界139カ国・地域のほぼ全てが1日、法人税の国際的な最低税率を15%とするなど、新たな国際課税ルールで合意した。

130カ国・地域が署名した声明によると「2021年10月までに残された問題を含め、詳細な実施計画を最終決定する」予定で、23年までの実施を目指す。

新たな国際課税ルールで合意した国・地域が世界の域内総生産(GDP)に占める割合は9割を超える。一方、反対した9カ国には欧州の低税率国であるアイルランドやエストニア、ハンガリーなどが含まれる。

経済協力開発機構(OECD)は、最低法人税率を15%とすることで、年間約1500億ドルの税収増が期待できるほか、多国籍の巨大企業を対象とした新ルールに伴い、1000億ドルを超える利益に対する課税権が利益を得た国に移行すると指摘した。

バイデン米大統領は声明で、新たな国際課税ルールでの合意によって「多国籍企業は税率引き下げに向けて各国を対抗させることはできなくなる」とし、「米国や他国で得た利益を低税率の地域に隠し、公平な負担を回避することもできなくなる」と表明した。

ドイツのショルツ財務相は、引き続き詳細を詰める必要があるとしながらも、国際課税ルールを巡る「見事な進展」と評価し、「底辺への競争は終焉(しゅうえん)を迎える」と語った。

フランスのルメール経済・財務相も、今世紀で最も重要な国際課税を巡る合意と述べ、反対に回った国からの支持取り付けに取り組む姿勢を鮮明にした。

今回の合意内容は、来週イタリアのベネチアで開かれる20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議で討議される。

<課税規準>

新たに導入される最低法人税率は、売上高が7億5000万ユーロ(8億8900万ドル)以上の企業に適用されるが、海運業だけは免除される。

電子商取引の出現により、大手ハイテク企業は利益をどこで稼いだかにかかわらず、低税率国で利益を計上することが可能となる中、多国籍企業への課税に関する新規則は、企業の利益に対する課税権を各国間でより公平に分配することを目的としている。

対象となるのは、売上高が200億ユーロ、税引前利益率が10%を超える多国籍企業で、売上高の基準は7年後の見直しにより100億ユーロに引き下げられる可能性がある。また、採取産業や規制金融サービスは課税対象から除外される予定だ。