22兆9000億ドル(約2514兆円)。この30年間に米国で広がった格差の経済コストとして、サンフランシスコ連銀のデーリー総裁をはじめとするエコノミストがはじき出した推計値です。この論文の中でデーリー総裁は格差拡大の帰結として、「他の先進国に比べて、米国の労働参加率は非常に低い」と指摘。競争面での劣性を懸念しています。世界一の富豪が宇宙に飛び立つ一方で、貧困線を下回る国民が特定の人種や地域に偏っているのが米国の現状。論文によれば、この経済コストは今後さらに悪化する見通しです。以下は一日を始めるにあたって押さえておきたい5本のニュース。

減速はテーパリングではない

欧州中央銀行(ECB)はパンデミック緊急購入プログラム(PEPP)の購入ペースを10-12月(第4四半期)に「やや減速」させる。ラガルド総裁はただ、記者会見でこれは「テーパリングではない」と言明。「PEPPを向こう3カ月について微調整する」という決定だと説明した。総裁はユーロ圏経済の回復が「ますます進展している」と述べ、購入を減速させても回復が続くことに自信を示した。ロイター通信によると、新たな購入目標は月額600億~700億ユーロに設定された。 

ワクチン義務化 

バイデン米大統領は連邦政府職員と契約職員のすべてに新型コロナウイルスワクチンの接種を義務づける方針を発表する。同方針について大統領令に署名する予定だと、匿名の関係者が明らかにした。米国ではデルタ変異株の感染拡大で、一部の地域では病院が患者を受け入れられなくなっている。大統領は米東部時間午後5時にホワイトハウスで演説する。一部の雇用主に従業員のワクチン接種か検査を義務づけるため、政府に新たなルール策定を指示する見通し。

食事は自前で

ゴールドマン・サックス・グループは来週からロンドンのオフィスで、社会的距離を取る規則を廃止し、オフィス収容人数の100%出社を認める。同社の英国従業員は「大多数」がワクチン接種を完了しており、既にロンドンでは人員の約半数が日々出社している。共用エリアでのマスク着用とウイルス検査は引き続き義務付ける。オフィス近隣の飲食店などの業務再開を後押しするため、オフィスで提供している無料の食事を今月20日に終了する。

初の介入

中国は初めて原油備蓄を放出した。北半球の今夏、大半の時期で1バレル=70ドルを超えていた原油価格を抑制する狙い。発表を受け、原油先物相場はロンドン、ニューヨーク両市場で下落に転じた。原材料価格の上昇に伴う圧力を軽減しようと、中国はこれまでにも他の一部商品(コモディティー)で国家備蓄の放出を行ってきている。今回の原油備蓄放出は主として、製油と化学事業を一体的に手掛ける国内企業向け。

時間の猶予

3000億ドル(約33兆円)を超える債務の支払い期限を巡り、不動産開発大手の中国恒大集団が提案した債権者との再交渉が中国当局に承認された。資金繰りに苦しむ恒大に一時の猶予が与えられる。事情に詳しい関係者によれば、恒大は一部融資で利払いおよび元本の支払期限を守れなかったことから、再交渉計画を先月提示。同国の金融監督トップである金融安定発展委員会(FSDC)がこれを承認した。

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