不動産開発大手の中国恒大集団は、同社が手掛けた住宅の購入者や個人投資家から強く抗議を受けているだけでなく、自社の従業員の反発も招いている。中国当局は同社の債務危機が社会不安をあおらないよう、目を光らせる。

  深圳にある恒大の主要オフィスには未払いとなっている資産運用商品(WMP)、いわゆる理財商品の返金を求める多くの人が詰めかけ、13日夜には警察が出動する事態となった。財新が報じたところによれば、12日時点で抗議者は数百人に上っていた。

  事情に詳しい関係者によれば、恒大のWMPを購入した従業員が週末に抗議運動を行ったとして、同社は瀋陽の従業員に在宅勤務を指示した。広州では、住宅購入者が建設再開を恒大に訴えるため、地元の住宅当局を包囲した。

  恒大は先週後半、WMP保有者に対して返金が長期にわたり遅れる案を提示し、これが猛反発を引き起こした。規制が緩いWMPは、恒大にとって重要な資金調達手段となっていた。同社は13日、反発を和らげようと提案を微修正したが、個人および機関投資家は恒大が開発した不動産という形での払い戻しを受け入れない限り、返金が遅れる事態は変わらない。

  投資家2人の情報によれば、恒大はWMPの払い戻し案として3種類の選択肢を提示。現金の分割払いか不動産での支払い、あるいは投資家が購入した住宅物件の支払残高からの相殺などが含まれていた。匿名を条件に述べた同投資家は、商品マネジャーから説明を受けた。

  恒大は13日遅くにウェブサイトに掲載した発表文で、破綻のうわさは真実ではないと言明。前例のない困難に直面していることは事実だと認めつつ、責務を確実に果たす決意で、通常の業務を回復し法的な権利と顧客利益を守るため可能な全てを行っていると説明した。抗議に関する言及はなかった。

関連記事
・中国恒大、破綻のうわさは真実ではない-責務を確実に果たす決意
中国恒大の債務、75%減免が債券アナリストの基本シナリオ (1)
・中国恒大の人民元建て債取引停止、本土債券市場のリスク浮き彫りに

原題:Evergrande Crisis Escalates as Protests Break Out Across China

(抜粋)