【香港時事】香港で19日に投票が行われた選挙委員会(定数1500)の委員選挙は20日、開票作業が終了した。2016年の前回選挙で4分の1強を獲得した民主派はゼロとなり、中間派が1人当選したほかは親中・親政府派で固められた。

 選挙委選は、当局が認めた「愛国者」以外の勢力を統治機関から排除すべく、中国主導で香港の選挙制度が変更されてから初の選挙となった。選挙委は政府トップの行政長官を選ぶ重要な役割に加え、定数90の立法会(議会)のうち40人を選出する権限を持つ。選挙委が親中派一色となったことで、12月の立法会選や来年3月の行政長官選でも民主派が徹底して締め出されるのは確実だ。

 選挙委は限られた業界別代表の投票などで決まるが、制度変更により民主派の優勢が見込まれる業界枠が廃止されたり、個人の意思が反映されにくい団体票に切り替えられたりした。さらに、新設された資格審査委員会が数少ない民主派候補を排除。民主派は出馬にすら至らないばかりか、投票する側も親中派で占められる構図となった。

 登録有権者は前回の約25万人から約8000人に激減。また、候補者の大多数は自動当選や事前調整による無投票当選だったため、19日の投票で選出されたのは、定数の2割超に当たる364人のみだった。

 中国政府は今回の選挙を立法会選や行政長官選に先立つ重要なプロセスとみており、投票前日には、韓正副首相が林鄭月娥行政長官に円滑な選挙運営を直接指示。投票終了後、林鄭長官は「重大な意義を持つ選挙であり、愛国者による香港統治の実施を象徴している」と称賛する声明を出した。極めて限定的な選挙だったため市民の関心は低く、目立った抗議活動は見られなかった。