[北京 31日 ロイター] – 中国国家統計局が31日発表した10月の製造業購買担当者景気指数(PMI)は49.2と、市場予想(49.7)に反して前月の49.6から低下した。景況改善・悪化の分岐点となる50を2カ月連続で下回った。原材料価格の高止まりや国内需要の鈍化が影響しており、景況は年内にさら悪化する可能性がある。

生産指数は前月の49.5から48.4に低下、新規受注指数は48.8と3カ月連続で50を下回った。

中国物流信息中心(CLIC)のアナリスト、Zhang Liqun氏は「調査対象企業の約3分の1が需要不足を最大の課題に挙げており、不十分な需要が生産を抑制したことが示されている」と述べた。

さらに懸念されるのは産出価格指数が61.1と、2016年の指数算出開始以来の高水準となり、全般的な経済成長が減速する中、インフレ圧力の高まりを示していることだ。

ピンポイント・アセット・マネジメントのチーフエコノミスト、張智威氏は「2008/09年の世界金融危機時と20年2月の新型コロナウイルス感染拡大局面を除いて、生産指数は05年の指数公表以来の低水準に落ち込んでいる」と指摘。一方で産出価格指数は16年の公表以来の高水準に上昇したとし、「中国経済がすでにスタグフレーションに陥っている可能性を確認するものだ」と述べた。

<政策は綱渡り>

統計局が14日発表した9月の生産者物価指数(PPI)は前年比10.7%上昇と、原材料価格の高騰を背景に1996年10月の統計開始以来、最も高い伸びを記録した。一方、弱い需要により消費者物価の伸びは鈍く、政策当局者は生産者物価の伸びを抑えながら景気を支援するという難しかじ取りを迫られる。

ロイター調査ではアナリストは中国人民銀行(中央銀行)が22年第1・四半期まで銀行の預金準備率引き下げを通じた景気支援を見送ると予想している。

しかし、コメルツ銀行のシニアエコノミスト、Zhou Hao氏は「生産は依然として弱く、需要の問題が相対的に大きい可能性を示している。ある程度の政策緩和がまだ必要だ」と指摘した。

31日に同時に発表された10月の非製造業PMIは52.4で、前月の53.2から小幅に低下した。同指数は今夏に一部地域での新型コロナ感染拡大の影響を受けたが、9月に50台を回復した。

しかし、10月は北部を中心に感染が再拡大しており、厳しい行動規制によりこの先経済活動が再び打撃を受ける可能性がある。

統計局の幹部は「コロナ感染や天候の影響により、消費者は休日を家で過ごすか、近場で過ごす傾向が強かった」と分析。

航空・鉄道サービスなどの運輸部門は拡大したものの、伸びは比較的弱かったと指摘した。

製造業と非製造業を合わせた総合PMIは50.8で、9月の51.7から低下した。