【ワシントン、イスタンブール時事】バイデン米大統領は3日、米軍がシリア北西部で対テロ急襲作戦を実施し、過激派組織「イスラム国」(IS)最高指導者アブイブラヒム・ハシミ氏を殺害したと発表した。米軍側に死者は出なかった。

米、シリアで対テロ作戦実施 13人死亡、アルカイダ標的か

 バイデン氏は国民向け演説で「(ハシミ氏は)米軍兵士が接近すると、臆病さから自暴自棄になり、家族を巻き添えに自爆した」と指摘。「この作戦はテロリストがどこに隠れようと米国の手からは逃れられないことを証明した」と強調した。

 米政府高官によると、急襲作戦は数カ月前から計画されていた。1日にバイデン氏が作戦実施を承認。ハシミ氏はシリア北西部イドリブ県の住宅街に家族や側近と住み、同じ建物にはISと無関係の市民も居住していた。

 2日深夜、ヘリコプターで現場に到着した米軍特殊部隊は民間人の巻き添え被害を避けるため、作戦前に同じ建物の1階に住んでいた民間人に退避を呼び掛けた。その後、建物の3階にいたハシミ氏が自爆し、子供と女性を含む家族が巻き添えになった。

 ハシミ氏の側近は妻と共に建物の2階に立てこもって銃撃戦を展開したが、最終的に殺害された。同高官によると「極めて複雑で危険度が高かった作戦」は2時間で終了した。

 AFP通信によると、在英のシリア人権監視団は今回の作戦で少なくとも13人が死亡したと指摘。同高官は「すべての犠牲者は自爆の巻き添えになったか銃撃戦で殺害されたかのどちらかだ」と述べた。