ロシアによるウクライナに対する軍事侵攻が続いています。

ウクライナの各地でロシア軍とウクライナ軍が戦闘を続けていて、大勢の市民が国外へ避難しています。戦闘の状況や関係各国の外交などウクライナ情勢をめぐる4月1日(日本時間)の動きを随時更新でお伝えします。

(日本とウクライナ、ロシアのモスクワとは6時間の時差があります)

※NHKは首都キエフなど、一部にロシア語に由来する地名を使ってきましたが、原則としてウクライナ語に沿った呼称に改めました。「キエフ」は「キーウ」、第2の都市「ハリコフ」は「ハルキウ」などとなります。一方、ウクライナ語に由来する「マリウポリ」などの呼称は変わりません。

ゼレンスキー大統領「ロシア軍の“後退”は戦術の一部」

ウクライナのゼレンスキー大統領は、3月31日に公開したビデオメッセージで、ロシアが軍事作戦を大幅に縮小するとしている首都キーウ、ロシア語でキエフや北部のチェルニヒウなどについて「ロシア軍は押し返されている。しかし、私たちはこれは戦術の一部であることを理解しなければならず、そう簡単にはいかない」と述べました。

そのうえで「私たちが打ち負かしている地域からロシア軍は離れ、他の非常に重要な地域、つまり私たちにとって困難な地域に集中している」として、ウクライナ南部と東部のドンバスは依然として非常に困難な状況にあるという認識を示しました。

さらに、第2の都市ハルキウ、ロシア語のハリコフ、東部のマリウポリなどで、ロシア軍が軍備を強化して激しい攻撃を行う可能性が高まっていることを訴えました。

このほか「国家とその自由と独立を守るためにウクライナ国民に忠誠を誓うという軍の宣誓を破った」として、ウクライナ保安庁の幹部2人の解任を決めたことを明らかにしました。

ロシア プーチン大統領 ベラルーシ大統領と電話会談

ロシアのプーチン大統領は4月1日、同盟関係にあるベラルーシのルカシェンコ大統領と電話で会談しました。

ロシア大統領府によりますと、この中でプーチン大統領は、ウクライナでの軍事作戦の状況やウクライナとの停戦交渉への評価を伝えたということです。

これに対しルカシェンコ大統領は、ロシアへの支持を表明したということで、軍事的な結束などを確認したものとみられます。

ウクライナ 「NFT」使って戦争記録を描いたデジタルアート販売

人道危機が高まるウクライナでは、政府が「NFT」と呼ばれる技術を使って、ロシアとの戦争の記録を描いたデジタルアートを販売し、支援を募っています。

「NFT」は、デジタル分野の作品がコピーではなくオリジナルだと証明する技術で、この方法で認証されたデジタルアートがインターネット上で実物の絵画と同じように販売されています。

ロシアによる軍事侵攻が続く中、ウクライナ政府は、戦争の記憶を残すとともに、世界中から支援金を集めようと「NFT」を使ったデジタルアートを販売するウェブサイトを立ち上げました。

サイトではことし2月24日に始まったロシアの軍事侵攻の様子を時系列で描いた作品のほか、ウクライナの首都、キーウで起きた爆発を表現した作品など、合わせて2000点余りが出品されています。

販売の開始から1日で50万ドル、日本円にしておよそ6100万円の支援金が集まったということで、収益はすべてウクライナの人道支援に充てられるとしています。デジタル転換相を兼務するウクライナのフョードロフ副首相は、自身のツイートで「われわれは未来志向の技術でこの歴史を記録するとともに、戦争後の国の経済の立て直しにも活用していく」などとコメントしていて、ITを駆使した新たな支援の方法に注目が集まっています。

ロシア ドル建て国債の約70%をルーブルで買い戻しと発表

ロシアの財務省は31日、今月4日に償還期限を迎える20億ドル、日本円でおよそ2400億円のドル建て国債のうち、72.4%にあたる14億4760万ドル分を自国通貨のルーブルで買い戻したと発表しました。

投資家に対して、利息を含めて1244億ルーブルが支払われたとしています。ロシア財務省は先に買い戻しに応じた投資家に対してルーブルでの支払いを行う意向を示していて、主にロシア国内の投資家がこれに応じたものとみられます。

ロシアは、経済制裁によって外貨準備の半分近くが凍結されていて、ルーブルによる支払いの背景には外貨の国外流出を少しでも減らす意図があるほか、国内の投資家が制裁の影響なく資金を受け取れるようにする配慮があった可能性があると指摘されています。

今回の国債の償還は金額が大きいため、問題なく支払いが行われるか注目されてきました。ロシア側は、ルーブルでの支払いを投資家が受け入れているとして、一方的な返済条件の変更ではなく、デフォルト=債務不履行にはあたらないとの認識に立っているとみられます。

ロシア西部ベルゴロド州 石油貯蔵施設で火災

ロシア西部のベルゴロド州の知事は1日、SNSに投稿し、石油貯蔵施設で火災が起きたとしたうえで「ロシア領内に侵入したウクライナ軍のヘリコプター、2機から攻撃を受けた」と主張しました。

現時点でウクライナ側などからの反応もなく詳しいことは明らかになっていませんが、ロシアの国営メディアなどは、石油貯蔵施設から煙が上がっている様子を動画などで伝えています。
また、これまでのところ死者はいないとしています。

マリウポリの住民避難 ロシアが「人道回廊」設置を発表

戦闘が続く東部の要衝マリウポリでの住民の避難についてロシア国防省は31日、フランスのマクロン大統領とドイツのショルツ首相からの要請に基づき「人道回廊」と呼ばれる避難ルートを日本時間の1日午後4時から設置すると発表しました。

ロシア側は避難ルートの設置には国連難民高等弁務官事務所とICRC=赤十字国際委員会も参加する予定だとしています。

赤十字国際委員会はすでに支援物資や医療品を準備して現地に向かっていると明らかにしたうえで、避難が円滑に行われることが重要だと訴えています。最新の戦況地図はこちら

ウクライナ奪還の激戦地イルピン 今の様子は

ウクライナの首都キーウの北西に隣接し、首都をめぐる攻防で激しい戦闘が行われたイルピンには、ウクライナが奪還したと発表してから複数の海外メディアが取材に入っています。

ロイター通信が配信した現地の映像からは多くの建物が激しく壊れ、焼けて崩れているほか、戦車などが路上に放置されている様子が確認できます。また、ウクライナの警察が不審な人物がいないか警戒にあたる様子や、放置された車に爆発物などが仕掛けられていないか調べる様子なども捉えられています。

イルピンの住民は「攻撃が続いていたので、怖くて避難できなかった。3月初めには水、電気、ガスが寸断され、これまで人道支援を受けることができなかった。近所では、12歳の子どもを含む家族が攻撃によって亡くなった。ウクライナ軍を見たときはうれしかった」と話していました。

ロシア軍 マリウポリ掌握へ攻勢

ロシア国防省は31日、ウクライナ東部にあるウクライナ軍の複数の燃料基地を巡航ミサイルで破壊したと発表するなど、軍事作戦の重点を移すとした東部での攻勢を強めています。

また、ロシア軍が包囲を続けている東部の要衝マリウポリについて、ゼレンスキー大統領は31日、ベルギーの議会で行ったオンライン形式の演説で「ロシア軍は街への入り口をすべて閉じている。食料も水も医療品もない。生命を維持するためのものは何もない」と述べて、深刻な人道危機が続いていると訴えました。

一方、親ロシア派の武装勢力の指導者、プシリン氏は、マリウポリに「地方行政機関を設立する」と主張するなど、支配地域への影響力を広げ、市内の完全掌握に向け攻勢を強めています。

またロシア側が軍事作戦を大幅に縮小するとしている首都キーウ周辺について、NATO=北大西洋条約機構のストルテンベルグ事務総長は31日の会見で「ロシアの部隊は撤収ではなく再配置されている。キーウなどへの圧力は続いており、今後さらなる攻撃が予想される」と述べ、警戒を怠るべきではないという考えを示し、依然として、緊張が続いています。

ゼレンスキー大統領「マリウポリ 生命を維持するもの何もない」

ウクライナのゼレンスキー大統領は31日、ベルギーの議会でオンライン形式による演説を行い、ロシア軍に包囲されているウクライナ東部のマリウポリについて、ロシア軍が住民の避難を妨害していると批判しました。

演説の中でゼレンスキー大統領は「マリウポリは3週間にわたり完全に包囲されていて、ロシア軍は街への入り口をすべて閉じている。食料も水も医療品もない。生命を維持するためのものは何もない」と述べて、深刻な人道危機が続いていると訴えました。

そのうえで「われわれは女性、子ども、そして高齢者を含む市民を避難させるため、マリウポリからの避難ルートを確保しようと、毎日できるすべてのことを行っている。しかしほとんどの場合、ロシア軍が人々の移動を妨げ、救援物資の輸送ができない」と述べて、ロシア軍を強く非難しました。

ロシアの“軍事作戦縮小” バイデン大統領「明白な証拠ない」

アメリカのバイデン大統領は、ロシアがウクライナの首都周辺などでの軍事作戦を大幅に縮小するとしていることについて、3月31日、会見で「プーチンがキーウ周辺にいる軍のすべてを撤退させているという明白な証拠はない。プーチンが言っていることについてはやや疑わしいと考えている」と述べました。

また、ウクライナに侵攻したロシア軍の状況などをめぐり、プーチン大統領が側近から誤った情報を伝えられていた可能性について、バイデン大統領は現時点で明白な証拠はないとしながらも「プーチンは周りの意見を受け付けなくなっているようだ。何人かの側近を解雇、もしくは自宅軟禁の状態に置いたことを示唆する情報もある」と明らかにしました。

イギリス国防相 ロシア軍の動き「過去に同じような戦略の変化」

イギリスのウォレス国防相は31日、イギリスメディアとのインタビューで、ロシア軍が軍事作戦の重点をウクライナ東部に移すとしていることについて「過去にも同じような戦略の変化があった。こうした場合には、民間人や民間人の居住地域への攻撃が増えるなど、いつも状況は悪化する。ロシア軍は、南東部に移動し、何ができるのか探ろうとしている」などと述べ、国際社会が引き続き結束していくことが必要だと指摘しました。

また、この日はイギリスやアメリカなど各国がウクライナに対する支援について話し合うオンラインの会合が行われ、さらなる軍事的な支援を続けていくことで一致したとしています。

一方、イギリス軍のトップ、ラダキン参謀長は31日、シンクタンクの講演で、マリウポリなどでは厳しい状況が続くという見方を示したうえで「プーチン大統領はあらゆる面で敗北している。先見の明があるとわれわれに信じさせようとしたが、それには程遠い状況で、数々の壊滅的な誤算によって、自分自身を傷つけた。プーチン大統領は、1か月前に比べ弱い存在になっているが、逆に、NATOはかつてないほど強く結束している」と強調しました。

プーチン大統領 停戦や首脳会談「まだ機は熟していない」

ウクライナへの軍事侵攻を続けるロシアのプーチン大統領が、ウクライナ側との停戦や首脳会談について「まだ機は熟していない」と述べたことが分かりました。

これはイタリアのドラギ首相が31日、前日のプーチン大統領との電話会談について、会見で説明した中で明らかにしました。

それによりますと、ドラギ首相が、速やかな停戦と、ウクライナのゼレンスキー大統領との首脳会談の実現を働きかけたのに対し、プーチン大統領は「まだ機は熟していない」と答え、ウクライナ側との交渉は段階を踏んで進めるべきだという考えを示したということです。

ロシア 天然ガス購入ルーブル支払いの大統領令 欧米や日本など

プーチン大統領は、欧米各国や日本など政府が「非友好的」と指定した国や地域に対して、4月1日から、ロシアから天然ガスを購入する際にはロシアの通貨ルーブルでの支払いを義務づける大統領令に署名し「支払いが行われない場合、既存の契約は停止される」と警告しました。

一方、大統領令では「非友好的」な国の企業などはロシアの銀行「ガスプロムバンク」にルーブルと外貨の口座を開くことが必要で、外貨で送金すれば、この銀行がルーブルに両替して支払われる仕組みだとしていて、外貨で支払う道を残したものとみられます。

ウクライナへの軍事侵攻で西側の各国がロシアに厳しい経済制裁を科したことで、ルーブルは大幅に値下がりしていて、プーチン政権としてはルーブルを買う必要がある仕組みにすることで相場を支えるねらいもあるとみられます。

人身売買にあわないように 注意を呼びかけ

ウクライナから避難してきた人たちが通過する、ポーランド南東部のプシェミシルの駅では、ポーランド政府が「人身売買の被害者にならないでください」と呼びかける注意書きを貼り出しています。

ウクライナ語で、書類や携帯電話を渡してはいけないとか、移動を支援してくれるという相手から、本人確認の証明書を見せてもらったり、車のナンバープレートを書き留めたりするよう呼びかけています。

チェルニヒウから避難してきた20歳の女性は、注意書きについて「私自身はそうした事態に遭遇していないですが、重大な問題で、警戒心を持ち続けるべきだと思います。助けてくれる親切なボランティアがたくさんいます。一緒についていくのではなく、なるべくウクライナ人の大きなグループにいたほうがいいと考えています」と話していました。

国境付近では、多くの個人や団体がボランティアで避難先を紹介したり、移動の手段を提供したりしていますが、中には、行き先の詳細を知らされないまま車に乗せられるケースも、地元の警察や行政などに報告されているということです。

特に国外に知り合いがいない人たちが狙われやすいということで、人身売買の防止に向けて活動するアメリカの非営利組織のウィリアム・ローダーデ-ルさんは「避難してきた人に正しく情報を提供すること、それに車に乗せようとする人たちの登録を厳格化し、追跡できるようにすることが必要だ」と指摘していました。

こうした問題については、ユニセフ=国連児童基金も人身売買などのリスクが高まっているとして、各国と連携して国境での監視活動などを強化するとしています。

チョルノービリ(チェルノブイリ)原発からロシア軍大半撤退か

ウクライナの原子力発電公社、エネルゴアトム社は3月31日、ロシア軍が占拠していた北部のチョルノービリ原子力発電所、ロシア語でチェルノブイリ原子力発電所や周辺の施設から大半が撤退したとみられると発表しました。

エネルゴアトム社はSNSで、ロシア軍について「ベラルーシとウクライナの国境に向かって2列で移動していることが確認された」と投稿し、部隊の大半は撤退し、数人が残っている状況だということです。
また「けさ、ロシア軍はチョルノービリ原発を、ウクライナの職員に任せる意向を示した」とも投稿しています。

また、IAEA=国際原子力機関のグロッシ事務局長は3月31日、声明を発表し、チョルノービリ原子力発電所を占拠していたロシア軍が、原発の管理をウクライナ側に戻したと、ウクライナ当局から連絡を受けたことを明らかにしました。

IAEAは、近く、原発に支援チームを派遣することをウクライナ側と協議しているとしています。

“キーウ(キエフ)周辺のロシア軍 一部再配置の動き”

アメリカ国防総省の高官は3月31日、ウクライナの首都キーウ、ロシア語でキエフ周辺に展開しているロシア軍について、引き続き一部の部隊が現地を離れ、再配置の動きを見せていると指摘しました。

ただ、移動している部隊の規模に大きな変化は見られず、全体の20%程度だとしたうえで、多くの部隊が今も周辺に残り、空爆や砲撃も続いているとして、キーウに対する脅威が続いているという認識を示しました。

また、この高官は、正確な規模は分からないものの、ロシア軍の部隊がこれまで占拠していた北部のチョルノービリ原子力発電所、ロシア語でチェルノブイリ原子力発電所を離れ、移動し始めているという分析を明らかにしました。

ただ、キーウ周辺から離れた部隊を含め、いずれもロシア国内に戻る兆候は見られないと指摘し、ロシア側が部隊を再編成したあと、ウクライナ東部などでの戦闘に再び投入するのではないかという見方を示しました。

米財務省 ロシア国内外拠点の21団体などの資金を凍結

アメリカ財務省は31日、声明を出し、ロシア国内外に拠点がある21の団体とロシア人など13人の資金を凍結したと発表しました。

声明によりますと、ロシア軍や情報機関は技術的に欧米諸国に依存していますが、複数の国にまたがる企業のネットワークを利用して物資の最終的な納入先を隠しているということです。

アメリカが今回、制裁の対象にしたのは、このネットワークの中心とみられる、軍民共用の設備や技術の調達に関わっているモスクワの機械販売会社のほか、モスクワ郊外にあるロシア最大のマイクロチップ製造企業などです。

アメリカ財務省は3月24日、ロシアの軍事侵攻を直接支援する国営の軍事企業などに制裁を科していますが、今回の制裁は、その実効性を高めるものとなります。

南オセチアのロシア編入意向 ジョージア外相「容認できない」

ロシア南部と国境を接するジョージアのザルカリアニ外相は、ジョージアからの分離独立を主張している南オセチアのトップがロシアへの編入を目指す意向を示したことについて、31日、外務省の公式サイトで声明を発表し「容認できない」と反発しました。

そして、2008年にロシア軍がジョージアに侵攻した結果、今も多くの人が故郷を追われたままだとしたうえで、南オセチアのトップが実施する構えを見せている住民投票は違法で、法的拘束力を持たないと強く批判しました。

国連 “ウクライナで3月30日までに1232人の市民が死亡”

国連人権高等弁務官事務所は、ロシアによる軍事侵攻が始まったことし2月24日から、3月30日までに、ウクライナで少なくとも1232人の市民が死亡したと発表しました。
このうち112人は子どもだということです。

死亡した人のうち、404人は東部のドネツク州とルハンシク州で、828人はキーウ州や東部のハリキウ州、北部のチェルニヒウ州、南部のヘルソン州などで確認されています。

また、けがをした人は1935人に上るということです。

多くの人たちは砲撃やミサイル、空爆などによって命を落としたり負傷したりしたということです。

今回の発表には、ロシア軍の激しい攻撃を受けている東部マリウポリなどで、確認が取れていない犠牲者の数は含まれておらず、国連人権高等弁務官事務所は、実際の数はこれよりはるかに多いとしています。

ウクライナ西部 死亡した兵士たちの葬儀

ウクライナ西部のポーランドとの国境に近い都市リビウで、31日、ロシア軍との戦闘で死亡した兵士たちの葬儀が行われました。

リビウではロシア軍との直接の戦闘は起きていませんが、ウクライナ国内のほかの場所で戦死した地元出身の兵士などの葬儀が時折行われています。

市中心部の教会で3人の兵士の葬儀が行われ、教会の外ではひつぎを乗せた3台の黒い車のそばにウクライナ国旗や大きな十字架を持った兵士たちが整列しました。

周りには遺族のほか、通りかかった市民なども集まり、用意していた花束や近くの花屋で買った花をひつぎの上や横に手向けて、兵士たちの死を悼んでいました。

それぞれの運転席の前には死亡した兵士の写真が置かれ、遺族が肩を抱き合い悲しみに暮れる中、車は墓地へ出発していきました。

日本政府 首都表記を「キーウ」に ウクライナ大統領が評価

日本政府がウクライナの首都「キエフ」の名称表記を「キーウ」にするなど、ロシア語に由来する地名を、原則としてウクライナ語に沿った呼称に改めたことについて、ウクライナのゼレンスキー大統領はツイッターに「ようやく私たちの都市のつづりを、時代遅れとなっていた旧ソビエトの表記から、正しいウクライナ語の呼称に改めるときが来た。日本の決定に感謝しているし、ほかの国々にも続いてほしい」と評価するメッセージを投稿しました。

避難先でオンライン授業で学ぶ子どもたち

ウクライナの学校では、国内外に避難して離れ離れになった生徒たちが避難先でも学べるよう、オンライン授業を行っているところもあります。

ウクライナの隣国モルドバの中部の村カザネスティでは、3月初めから高校の寮が避難者に開放され、ウクライナから避難してきた7組の家族合わせて45人が、地元の人から食料や衣類の支援を受けながら、家族ごとに寝泊まりしています。

このうちウクライナ南部のオデーサ、ロシア語でオデッサから母親や祖父母などと避難してきた、小学2年生のコンスタンチン君(7)は、平日は、かつて通っていた学校のオンライン授業をスマートフォンで受けています。

3月31日は体育の授業が行われ、画面上でクラスメートが顔をそろえ、先生の指導を受けながらボールを投げたり体操をしたりしていました。

30人余りいるクラスメートのおよそ半数は現在、モルドバやポーランドなどウクライナ国外に避難しているということです。

コンスタンチン君は「英語の勉強が好きです。オンライン授業でクラスメートと顔を合わせて『元気?』などとおしゃべりしています」と話していました。

コンスタンチン君の母親は「世界中どこにいてもクラスメートや先生とつながることができ、ありがたいです。戦争中でも勉強できるので、今の学年の勉強をしっかり終えて、新学期が始まる秋には故郷で新しい学年を始められることを祈っています」と話していました。

モルドバ 避難の子どもたちが地元のサッカー教室に招かれる

ウクライナの隣国モルドバでは、地元の子どもたち向けのサッカー教室に避難してきた子どもたちが招かれ、子どもどうしの交流の場所になっています。

モルドバの首都キシニョフでは、地元のプロサッカーチームが週に4日、サッカー教室を開いていて、ロシアによる軍事侵攻が始まってからは、ウクライナから逃れてきた子どもたちも自由に参加できるようにしています。

3月31日は、ウクライナから来た6人の子どもも練習に参加し、コーチからパスの出し方などを教わっていました。

ウクライナ南部オデーサから2月下旬に避難してきた9歳の男の子は「しっかり教えてくれてとても楽しいです。ウクライナの友達とも早くサッカーがしたいです」と話していました。

教室を開いているチームのコーチは「ウクライナの子どもたちにはできるだけふだんどおりの生活を送ってほしい。地元の子どもたちとも交流を続けてほしいです」と話していました。

ウクライナ東部ルハンシク州知事「遺体の収容さえできない」

ウクライナ東部ルハンシク州のセルゲイ・ガイダイ知事が、31日、NHKのオンラインインタビューに応じました。

ガイダイ知事は「砲弾が民家や幼稚園などを直撃し、戦闘が行われている場所では遺体を収容することさえできない。きのう(30日)は民家が砲撃され、住んでいた家族のうち少なくとも7人が砲弾の破片で死亡した。1歳と7歳、それに8歳の子どもが含まれていた」と述べ、市民を巻き添えにする無差別攻撃が続いていると訴えました。

また、ロシア側が支配している地域では、住民が強制的に戦闘に参加させられているとしたうえで「住民は、ウクライナ軍との戦いに参加するか、殺されるかという無理な選択を迫られる。そして訓練を受けたこともない人々が戦場に放り込まれ、数十人単位で死んでいく。前進させられ、大砲の餌食となって死んでいるのだ」と述べ、悲惨な人道状況を訴えました。

ガイダイ知事は「ロシアは攻撃的で、うそつきで、世界の敵だ。そして帝国主義的な侵略計画を持っている」と非難し、ウクライナ侵攻のあとには、ポーランドやバルト3国がロシアの標的にされる可能性があると指摘しました。

そのうえで「今こそ、世界の国々が連帯して、この新たな疫病とも呼べる国を止めなくてはならない」と述べ対ロシア包囲網の強化を呼びかけました。

ウクライナから国外に避難 405万人超(3月30日時点)

UNHCR=国連難民高等弁務官事務所のまとめによりますと、ロシア軍の侵攻を受けてウクライナから国外に避難した人の数は、3月30日の時点で405万人を超えています。

主な避難先は
▽ポーランドがおよそ236万人
▽ルーマニアがおよそ61万人
▽モルドバがおよそ38万人
▽ハンガリーがおよそ36万人
などとなっています。
また
▽ロシアに避難した人はおよそ35万人となっています。