3月の米生産者物価指数(PPI)は、前日に発表された消費者物価指数(CPI)と同様に大幅上昇しましたが、米国債利回りの反応はまたしても低下でした。フェデラルファンド(FF)金利先物市場が示唆する年内の0.25ポイント利上げの回数見通しも8.3回と、週初の8.8回から減少。ウォラー連邦準備制度理事会(FRB)理事は5月の大幅利上げを支持しながらも、インフレはピークに達し、減速し始めるとの見通しを示しました。足元では著しいインフレ圧力もピークが意識され始めているようです。以下は一日を始めるにあたって押さえておきたい5本のニュース。

過去最大の伸び

PPIは前年同月比11.2%上昇と、統計でさかのぼれる2010年以降で最大となった。前月比での伸びも過去最大。ロシアによるウクライナ侵攻開始からの1カ月で供給経路における圧力が強まり、エネルギーと食品、金属の価格が押し上げられたことを示している。変動の大きい食品とエネルギーを除くコアPPIは前月比、前年比共に市場予想を大きく上回った。

判断持ち越し

ロシアが先週、ドル建て国債の償還と利払いをルーブルで行ったことについて、国際スワップデリバティブ協会(ISDA)のクレジットデリバティブ決定委員会はクレジット・デフォルト・スワップ(CDS)取引の支払不履行の信用事由に該当するかどうかを20日に再度協議することになった。委員会は13日に会合を開き、この問題を協議したが、判断を持ち越した。

戦争に絡み

米銀JPモルガン・チェースの1-3月(第1四半期)業績は、ロシアのウクライナ侵攻による相場の落ち込みに絡む5億2400万ドル(約660億円)の損失により損なわれた。損失は「ファンディングスプレッド拡大および、商品エクスポージャー増加とロシア関連カウンターパーティーからのデリバティブ(金融派生商品)債権の評価引き下げに関するクレジットバリュエーション調整」の結果だという。ただ、債券と株式のトレーディング収入はいずれもアナリスト予想を上回り、純利益も82億8000万ドルと予想を超えた。

20年ぶりの大幅利上げ

カナダ銀行(中央銀行)は政策金利である翌日物貸出金利を0.5ポイント引き上げて1%とした。この20年余りで最も大きい利上げ幅だ。同時に、バランスシート圧縮に向けて国債買い入れを停止するとも明らかにした。マックレム総裁率いる政策委員会は、物価上昇圧力は依然として目標を大きく上回っており、金利は「一段と上昇する必要がある」と指摘。政府債の償還後の再投資を4月25日に停止するとし、いわゆる量的引き締め(QT)の開始を明らかにした。

適切な時期に

中国国務院は「適切な時期に」預金準備率を引き下げると表明した。国務院がこのような発表を行った場合、中国人民銀行(中央銀行)は数日以内に預金準備率の引き下げを実際に打ち出すことが多い。中国の新型コロナウイルス流行は下火となる兆しがほぼ見られず、経済見通しは最近悪化。李克強首相は11日、経済成長へのリスクを警告し、強力な政策を打ち出すと約束していた。

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