Elon Musk, chief executive officer of Tesla Inc., departs court during the SolarCity trial in Wilmington, Delaware, U.S., on Tuesday, July 13, 2021. Musk was cool but combative as he testified in a Delaware courtroom that Tesla’s more than $2 billion acquisition of SolarCity in 2016 wasn’t a bailout of the struggling solar provider. Photographer: Al Drago/Bloomberg

世界一の富豪イーロン・マスク氏にとってさえ、430億ドル(約5兆4100億円)は法外な金額だ。

  ツイッターを全額現金で買収するというマスク氏の提示額は同氏の資産2506億ドルの約6分の1に相当する。ただ同氏の資産の大部分は、共同で創業した電気自動車(EV)メーカー、テスラの持ち分に関連するものだ。テスラの株価はこの2年間に急上昇してマスク氏をブルームバーグ・ビリオネア指数でトップに押し上げた。

マスク氏、ツイッターに買収提案-5兆円超で全株取得目指す

  ツイッター買収は容易ではないが、マスク氏には資金調達でいくつかのシナリオがある。1つは保有するテスラ株を即座に売却することだ。また、外部パートナーなどと手を組んだ買収に向けテスラ株を担保に資金を借り入れるという方法もある。

  ここ数カ月に26億ドルを投じてツイッター株9.1%取得したマスク氏は、現時点で現金やその他の流動資産で約30億ドルを保有すると、ブルームバーグは試算している。

  ツイッター株の残る株式の取得に必要な追加資金360億ドルを調達するには、テスラ株なら約3650万株の売却が必要になる計算だ。これはマスク氏の持ち株全体の2割超に相当する。そうした売却はテスラ株下落のリスクをはらむ。最高経営責任者(CEO)としてのテスラへの関与などについて疑念が生じかねないのは言うまでもない。

  マスク氏にはテスラとスペースXの保有株を担保とした借り入れという選択肢もある。

  ミラボー・エクイティー・リサーチのTMTリサーチ責任者ニール・キャンプリング氏は「これは敵対的買収になり、相当な額がかかることになる」とした上で、「そのためには十分な規模のテスラ株売却やテスラ株を担保とした巨額のローンが必要だろう」と指摘した。

原題:Musk Needs ‘Massive Loan’ or Big Tesla Sale to Buy Twitter (1)(抜粋)