[ニューデリー 25日 ロイター] – インドが、ロシアのウクライナ侵攻後の2カ月間に2021年通年の2倍超のロシア産原油を購入したことがロイターの試算で明らかになった。西側諸国の制裁で買われなくなったロシア産原油を、インドの石油精製業者が割引価格で大量購入したため。 

西側諸国の対ロシア制裁によって多くの石油輸入業者がロシアとの取引を敬遠し、同等品と比べたロシア産原油の割引率は過去最高水準となっている。

原油の入札業者や取引業者の情報に基づくロイターの試算によると、インドの石油精製業者は2月24日のロシアによるウクライナ侵攻以来、少なくとも4000万バレルのロシア産原油を発注した。これらは第2・四半期積み込み分。ロイターの試算によると、21年通年のインドへのロシア産原油の輸入総量は1600万バレルだった。

インドは世界3位の石油輸入・消費国で、日量500万バレル(bpd)の原油需要の85%超を輸入に依存している。企業関係者によると、石油精製業者はサウジアラビアなど一部の生産国のより高い公定販売価格の影響を一部相殺するため、より安価なロシア産原油を購入している。

ある製油所の幹部は匿名を条件に「われわれは消費者を価格ショックからできるだけ守ろうとするが、同時に当社の利益も守る必要がある。このためロシア産原油を買っている」と語った。

ロイターの試算によると、民間製油企業のリライアンス・インダストリーズとナヤラ・エナジーによるロシア産原油の購入量は、いずれも国営のインド石油公社とヒンドゥスタン・ペトローリアム、バラト・ペトロリウムによる輸入量合計を上回っている。

貿易関係筋によると、リライアンスは22年第2・四半期にこれまで少なくとも1500万バレルのロシア産原油を購入。ロシアの石油最大手、ロスネフチが一部出資するナヤラ・エナジーは4─5月の出荷分で800万から900万バレルのロシア産原油を購入した。リライアンス、ナヤラはロイターのコメント要請に応じていない。

インド政府はウクライナでの即時停戦を求めているものの、ロシア政府の行動を明確には非難していない。

インドのプリ石油相は22日、同国のロシアからの石油輸入を擁護し、ロシアからの購入はインド全体の石油需要のごく一部に過ぎないと述べた。