【ロンドン時事】ウクライナのゼレンスキー大統領は1日、ロシア軍が包囲するウクライナ南東部マリウポリのアゾフスタル製鉄所に取り残されていた民間人のうち約100人が退避したと明らかにした。ツイッターに書き込んだ。一方、英BBC放送はロシア国防省の話として、製鉄所近くの居住施設から4月30日、民間人46人が避難したと伝えた。

 ゼレンスキー氏は「アゾフスタルから民間人の避難が始まった」と宣言。「第1陣がウクライナの管理する地域に向かった。(南東部)ザポロジエであす会おう。作業チームに感謝している。製鉄所にいる他の人たちの避難に向けた調整も今、国連と一緒にやっている」と状況を伝えた。

 ザポロジエはマリウポリから北西へ約200キロ離れている。国連も1日、マリウポリの状況について「脱出作戦は続いている」と確認したが、安全確保を理由に詳細は明らかにしていない。

 製鉄所の地下にはなお数百人の民間人やウクライナ兵がいるとみられる。ロシアは先月21日にマリウポリ制圧を宣言したが、その後も攻撃を継続している。

 大統領に先立ち、製鉄所で抵抗を続ける精鋭部隊「アゾフ大隊」副司令官は通信アプリを通じ「女性や子供ら民間人20人が適切な場所に移された。ザポロジエのウクライナ側支配地域に彼らを退避させることを望む」と述べていた。当初の予定から遅れたものの、ロシア側、ウクライナ側とも退避のための停戦を順守しているという。

 ロシアからの報道によれば、ロシア国防省は1日、退避した人数は80人だと指摘した。また、国連や赤十字国際委員会(ICRC)に民間人を引き渡したことを認めた。

 ロイター通信によると、マリウポリ市当局は1日夜(日本時間2日未明)、この日の脱出はいったん終了し、2日午前8時(同2日午後2時)から再開されると明らかにした。