[ローマ 21日 ロイター] – イタリアのドラギ首相は21日、マッタレッラ大統領に辞表を提出した。連立政権が機能不全に陥り、政権運営は不可能と判断した。マッタレッラ大統領はドラギ氏に対し暫定政権を率いるよう求めた。

大統領は21日午後に上下両院議会の議長と面会する予定。議会を解散し10月に総選挙を実施する可能性があるとの情報もある。

ドラギ首相は先週、物価対策の信任投票を連立与党の左派「五つ星運動」が拒否したことを受けて「挙国一致の連立はもはや存在しない」と辞意を表明。マッタレッラ大統領は慰留し議会での説明を要請した。

前日、上院で演説したドラギ氏は、連立与党の支持を得られれば首相にとどまる用意があると表明し、連立政権に結束を呼びかけた。しかしその後、上院で行ったドラギ内閣の信任投票を連立与党の主要3党が棄権、政権崩壊が現実味を帯びた。

ドラギ氏はイタリア中央銀行総裁、欧州中央銀行(ECB)総裁を歴任したセントラルバンカーで、ECB総裁としてユーロ圏債務危機への対応で手腕を発揮、「スーパーマリオ」、「ドラギマジック」という言葉も生まれた。選挙を経ない首相として寄り合い所帯の連立政権を1年半にわたり率いた。

イタリア財務省OBでLCマクロアドバイザーズを率いるロレンゾ・コドグノ氏は「イタリアの短期的な政策対応・改革能力にとって大きな痛手だ。解散総選挙で遅れや混乱が予想され、年内の予算編成は見込めない」と語った。