【ニューヨーク時事】米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長は26日の講演で、インフレ抑制に向けて利上げを進める姿勢を改めて強調した。これを受け、米株価の代表的指標であるダウ工業株30種平均は1000ドル超下落。米インフレに鈍化の兆しが見え始め、FRBが金融引き締めの手綱を緩めるとの楽観論が台頭していた市場に冷や水を浴びせた格好だ。

金融引き締め、当面継続へ 物価安定優先で「決意」―米FRB議長

 7月の米消費者物価指数の伸び率縮小などを受け、市場では「インフレがピークを越えた可能性がある」(米金融大手)との見方が広がった。7月の米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨では、出席者が利上げペースの減速に言及していたことも判明。FRBの急激な金融引き締めがペースダウンするとの期待が広がり、株価は先週まで上昇基調となっていた。

 しかし、パウエル氏は講演で「物価安定を取り戻すには、しばらくの間、引き締め的な政策スタンスを維持する必要がある」と述べ、物価抑制への決意を表明。「家計や企業にいくらかの痛みをもたらす」と、景気悪化もやむなしとの姿勢を鮮明にし、市場の楽観論を強くけん制した。

 英オックスフォード・エコノミクスはパウエル氏の発言内容について、利上げに積極的な「タカ派」の論調だったと分析。FRBは9月の次回金融政策会合でも、通常の3倍となる0.75%の大幅利上げを続ける可能性が高いと予想する。

 日系証券関係者は、パウエル氏の積極的な引き締め姿勢は想定以上で、「調整局面が長期化する可能性もある」と指摘。金融引き締めで景気が冷え込む事態への警戒感をあらわにした。